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» 2015年08月27日 13時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(41):電力の取引監視委員会が9月1日に発足、送配電の中立性もチェック

自由化が進んでいく電力市場に証券市場と同様の取引を監視する委員会が9月1日に発足する。経済産業大臣の直属組織として、卸と小売の取引に加えて送配電事業者の行為を監視する役割も果たす。委員会が有効に機能することで電力とガスを合わせたエネルギー市場の健全な発展を促す。

[石田雅也,スマートジャパン]

第40回:「小売電気事業者に電源構成の表示を義務化、固定価格買取制度の電力は『FIT電気』に」

 小売全面自由化を前に、新しい行政組織として「電力取引監視等委員会」が9月1日に発足することが正式に決まり、第1回の会合を同日の午後に開催する。当初は電力市場を対象にするが、1年後に実施するガスの小売全面自由化に合わせて監視対象を電力・ガス・熱の3分野に拡大する予定だ(図1)。

kanshi_iinkai1_sj.jpg 図1 エネルギー市場の改革スケジュール(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 この委員会は1992年に発足した「証券取引等監視委員会」と同様に所管大臣の直属組織として、市場を監視しながら事業者に対する業務改善勧告を出すことができる。監視対象は発電・送配電・小売にかかわるすべての事業者で、報告徴収や立入検査を実施する権限をもつ。エネルギー政策を推進する資源エネルギー庁と独立に中立性を発揮できることが重要な点だ(図2)。

kanshi_iinkai3_sj.jpg 図2 エネルギー政策の推進・実施体制(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 具体的には、発電事業者が自社グループの小売電気事業者に不当に安く卸取引を実施していないか、電力会社の送配電部門が特定の発電・小売事業者を不当に有利あるいは不利に扱っていないか、といった事業者間の取引の健全性を報告や検査を通じてチェックする。このほかにも小売電気事業者が需要家と交わす契約の健全性、電気料金や託送料金の妥当性について監視する役割を担う(図3)。

kanshi_iinkai2_sj.jpg 図3 「電力取引監視等委員会」の役割と権限(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 委員会は5人の委員と事務局で構成する。電気事業のほかに法律・経済・金融・工学の知見を持った専門家を集めることになっている。委員長には大阪大学や米国ジョンズ・ホプキンス大学で経済学の教授を務めた八田達夫氏(現・アジア成長研究所所長)が内定している。事務局の職員は弁護士や公認会計士などを外部から採用する方針だ。

 電力取引監視等委員会は2016年に「電力・ガス取引監視等委員会」に名称を変更して、ガスの小売・導管事業を監視対象に加える。さらに2020年に発送電分離を実施した後には、電力会社のグループ間の人事や資金調達を含めて中立性を監視する。2022年のガス導管分離後は大手ガス3社も同様の監視対象に入る。

第42回:「小売電気事業者に69社が申請、10月には登録者を公表」

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