企業を悩ますサーバルームの電力コスト、IoT活用で27%の削減に成功省エネ機器

国内の電力料金の上昇が続き、多くの企業がコスト削減の観点から省エネ施策を進めている。中でも特に電力使用量が多いサーバルームの省エネに注目が集まっている。富士通と日本工営はサーバルームの省エネ化事業で協業し、両社の省エネに関するノウハウを組み合わせたサービスを2015年10月より提供すると発表した。

» 2015年09月04日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 富士通と日本工営は2015年9月3日、富士通と日本工営は2015年9月3日、国内の企業内サーバルームに向けてIoT(モノのインターネット)活用した省エネ化事業で協業することに合意し、同年10月よりサービス提供を開始すると発表した。

 東日本大震災以降、日本国内の電力料金は上昇傾向にあり、時間帯別電力料金に合わせた照明・空調設備、製造設備のピークシフトを実施するなど省エネ施策に取り組む企業も多い。こうした省エネ施策の中でも、電力使用量が多く費用対効果の大きいサーバルームの省電力化が注目されている。

 富士通はこれまで企業向けに建物内のエネルギー使用量の可視化と空調・照明設備の遠隔制御を可能にするクラウド型EMS(Energy Management System)「Enetune-BEMS」を提供。日本工営は建物設備の省エネ運用や改修技術を組み合わせ、サーバルームでの電力使用状況の監視から省エネ化コンサルティング、設備の導入工事、政府系補助事業の申請手続などを一元提供してきた実績がある。

 今回の協業でこうした両社の省エネサービスを組み合わせ、エネルギー使用状況の可視化から省エネ化までの一連のサービスを、ワンストップで提供していく狙いだ。

図1 富士通と日本工営が提供するサービスのイメージ 出典:富士通

既に省エネ効果を実証済み、年約200万円の電力料金を削減

 富士通と日本工営はサービスの共同提供に先駆け2014年4月〜2015年3月の間、富士通の「Enetune-BEMS」と日本工営の省エネ技術を組み合わせ、サーバルームの省エネに取り組む実証実験を行った。

 実証実験を行ったのは富士通が所有する施設のサーバルームで、延べ床面積は約1000平方メートル、サーバのラックの設置台数は約200台。センサーを活用してサーバルーム内の電力使用状況や温度・湿度情報をモニタリングした。そのデータを基に空調システムを遠隔制御で調整した結果、サーバルームの空調搬送動力における電力使用量を約27%削減することに成功したという。これは年換算で約200万円の電力料金の削減に相当するとしている。

 同サービスの初期費用は500万円から。両社は2015年度からの5年間で100社以上の受注獲得を目標とし、今後は、オフィスビルや流通店舗など、企業内サーバルーム意外の建物に向けてのサービス提供も検討する方針だ。

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