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» 2015年09月30日 13時30分 UPDATE

電力供給サービス:最悪の発電コスト、日本に未来はあるのか (1/5)

IEA(国際エネルギー機関)とNEA(原子力機関)は、各種の技術を利用した発電所の建設コストや発電コストを試算、報告書の販売を開始した。調査対象となった22カ国全てで、原子力が最も低コストになった。それでも太陽光を中心とした再生可能エネルギーは5年前と比較して、火力発電を追い越すところまで低コスト化している。ただし、日本はこの恩恵をあまり受けていないようだ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 発電所を新設するとしたらどの発電技術が適しているのだろうか。エネルギー政策で重要な4つの視点*1)のうち、「発電コスト」に着目した最新の調査結果によれば、日本国内では「原子力」が最有力だという(図1)。図1では、図左から天然ガスを用いたコンバインドサイクルガスタービン(CCGT)、石炭火力、原子力、陸上風力、住宅太陽光、大規模太陽光、大規模水力の発電コスト(LCOE、米ドル/MWh)を示した。

 29カ国が加盟するIEA(国際エネルギー機関)と31カ国が加盟するNEA(原子力機関)がまとめた「Projected Costs of Generating Electricity 2015 Edition」(以下、報告書)による最新の調査結果だ*2)

*1) 安定供給(Energy Security)、経済効率性の向上(Economic Efficiency、コスト)、環境への適合(Environment)、安全性(Safety)をいう。
*2) 1981年から約5年おきに調査結果を公開しており、今回は8回目に当たる。

yh20150930IEA_JPNcost_590px.png  図1 日本の発電コスト 出典:Projected Costs of Generating Electricity 2015 Edition、p.70

先進国中心に幅広い発電技術を大規模調査

 同調査の目的は、2020年に運転を開始する発電所のコストを予測、各国政府のエネルギー政策を下支えすることだ。省庁を横断するエネルギー・環境会議(コスト等検証委員会)や経済産業省、資源エネルギー庁はこれまで国内のエネルギー政策を支える基本データとして、同調査の2010年版などを利用してきた。

 予測をなるべく正確にするため、報告書をまとめるにあたって既存の発電所のデータを集めた。対象となった発電所は22カ国の181カ所に及ぶ(図2)。対象国はOECD(経済協力開発機構)34カ国のうち19カ国、その他、新興国としてブラジル、中国、南アフリカ共和国を対象とした*3)

 主要な発電技術として天然ガス(17カ所)、石炭火力(14カ所)、原子力(11カ所)、太陽光(38カ所)、風力(33カ所)、水力(28カ所)を調べており、地熱や海洋エネルギーについても予測値を示している。発電所の出力は住宅用太陽光の3kWから、13.05GWの大規模水力に及ぶ。出力の開きにして400万倍も違う。

*3) 2011年時点で発電量の多い上位10カ国のうち、ロシア、インド、カナダが含まれていない。

yh20150930IEA_wmap_590px.png 図2 調査対象となった22カ国
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