最悪の発電コスト、日本に未来はあるのか電力供給サービス(4/5 ページ)

» 2015年09月30日 13時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

日本の発電コストは最悪レベル

 ここまで、各種発電技術に基づいた発電コストを紹介してきた。肝心の日本はどうなっているのだろうか。結論からいうと、調査対象国の中で特によくない位置にある。技術ごとにOECD諸国における日本の位置を紹介しよう。まずはベースロード発電技術だ。

  • 天然ガス(CCGT)

 発電所建設時に必要な金利抜き建設コスト(overnight cost)は割引率に依存しない。韓国が最も低コスト(845米ドル/kW、出力396MW)であり、最も高コストなのはニュージーランド(同1289米ドル、475MW)。日本は1246米ドル(441MW)であり、ニュージーランドとあまり変わらない。

 均等化発電原価(割引率3%)の散らばりは、61米ドル(米国)から133米ドル(日本)の範囲にある。運転前に必要な資本コストが相対的に高い米国の成績がよいのは、燃料価格の変化がLCOEに与える影響が極めて大きいからだと報告書は指摘している。

 割引率を変えた場合もLCOEの状況はあまり変わらない。7%の場合、66米ドル(米国)〜128米ドル(日本)、10%の場合71米ドル(米国)〜143米ドル(日本)。

 報告書から読み取ることができる結論は暗い。発電コストから判断する限り、燃料を低価格で調達する見込みがない場合、大規模に天然ガス(CCGT)を国内導入することはできないということだ。

  • 石炭火力

 金利抜き建設コストは、韓国が1218米ドル(960MW)と最も低く、ポルトガルが3067米ドル(605MW)と最も高い。日本は2496米ドル(704MW)であり、高コストだ。

 均等化発電原価(割引率3%)は66米ドル(ドイツ)から95米ドル(日本)の範囲にある。7%の場合、76米ドル(ドイツ)から107米ドル(日本)、10%の場合、83米ドル(ドイツ)から119米ドル(日本)である。

 国内の総発電量の30.3%(2013年度)を占める石炭火力。だが、発電コストから判断する限り、新規の建設に割安感は少ない。

  • 原子力

 金利抜き建設コストは、韓国の1087米ドルからハンガリーの6215米ドルの範囲にある。日本は3883米ドル(1152MW)。

 均等化発電原価(割引率3%)は、29米ドル(韓国)から英国の64米ドルの範囲にある。日本は63米ドル。7%の場合、40米ドル(韓国)から101米ドル(英国)、日本は88米ドル。10%の場合、51米ドル(韓国)から英136米ドル(英国)、日本は113米ドル。

 報告書によれば、原子力は日本において最も均等化発電原価が少ない発電方式だが、国際的な比較ではかなり高コストだ(割引率が低い場合)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.