太陽光発電の接続可能量が2種類に、原子力の再稼働を待つ姿勢は変えず法制度・規制(2/2 ページ)

» 2015年10月14日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
前のページへ 1|2       

「年度算定値」で接続可能量を増やす

 しかも「30日等出力制御枠」は今後も変更しない見通しだ。電力会社の電源構成に大きな変化があって、しかも接続申込量が超過していないことが見直しの条件になっている(図3)。すでに接続申込量が超過している北海道・東北・九州では、たとえ原子力発電所の廃止が決まって電源構成に変化が生じても見直さない。

図3 「30日等出力制御枠」を見直すルール。出典:資源エネルギー庁

 資源エネルギー庁は接続可能量に基づく発電設備の出力制御ルールを2015年1月に導入した。導入時には接続可能量を定期的に見直すことを表明していたが、1年も経たずに方針を変更することになる。新たに2種類の接続可能量を算出する理由として、「接続可能量を超過した場合でも、無制限・無補償の出力制御のもとで接続が可能であるにもかかわらず、接続が不可能という誤解を生じさせる恐れがある」と説明している。

 実態に近い「年度算定値」で接続可能量を増やすことができれば、事業者の導入意欲を高められるとの発想だ。各電力会社は政府の方針に従って、「2015年度算定値」を年度内に公表することになる。2種類の接続可能量にどの程度の差が出るかは注目である。

 太陽光や風力の発電設備が接続可能量を上回った場合でも、出力制御を実施するような状況は当面のあいだ考えにくい。原子力発電所の再稼働が各地域で急速に進まない限り、火力発電と揚水発電の出力を調整すれば需給バランスを維持することができる(図4)。

図4 需要に対する供給力の積み上げと出力制御のイメージ。出典:資源エネルギー庁

 2種類の接続可能量のどちらを採用しても、太陽光や風力の発電設備が需給バランスに大きな影響を及ぼす可能性は今のところ小さい。影響が出るとしたら、原子力発電所を数多く再稼働させた場合だ。先行きが不透明な原子力に過度な期待をかけるあまりに、ルールを複雑にして再生可能エネルギーの拡大を妨げている現状こそ早く是正すべきである。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.