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» 2015年11月16日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:下水から作ったCO2フリーの水素、燃料電池車を満タンにして5500円 (1/2)

福岡市が世界で初めて下水のバイオガスから作った水素の供給サービスを開始した。市内の下水処理場に併設した水素ステーションで、1キログラムあたり1100円で提供する。市販の燃料電池車は水素5キログラムで満タンになる。下水バイオガスから1日に65台分の水素を供給することができる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 福岡市の中心部にある下水処理場の「中部水処理センター」で水素の供給サービスが11月11日に始まった。下水処理の過程で発生するバイオガスから作った水素を、併設の水素ステーションで一般の燃料電池車に提供する(図1)。下水を処理したバイオガスによるCO2(二酸化炭素)フリーの水素ステーションは世界で初めての試みになる。

fukuoka1_sj.jpg 図1 下水バイオガスによる水素ステーション。出典:福岡市役所

 中部水処理センターでは2015年3月末から公用の燃料電池車に水素を供給して充填能力などの性能評価を続けてきた。評価を通じて一般の燃料電池車に提供できる体制が整ったため、2016年3月末まで試験供給を実施する。さらに4月からは商用の水素ステーションとして水素の販売を開始する計画だ。

 試験供給の期間中は水素1キログラムあたり1100円の協力金を徴収するほか、走行データの提出を義務づける。走行距離と走行場所、乗車人数やエアコンの作動状況などのデータを集約して、水素ステーションと燃料電池車の性能評価に役立てる。

 中部水処理センターは福岡市内で最大の下水処理能力があり、1日に2400立方メートルのバイオガスから3300立方メートルの水素を製造することができる。この水素を圧縮した状態で燃料電池車に充填する。現時点で唯一の市販車であるトヨタ自動車の「MIRAI」を想定すると、1日あたり約65台分を満タンにすることが可能だ(図2)。

fukuoka2_sj.jpg 図2 下水から水素を作って燃料電池車に供給するまでの流れ。(画像をクリックすると拡大)。出典:福岡市役所

 現在のMIRAIは水素5キログラムで満タンになり、標準で650キロメートルの距離を走ることができる。空の状態から満タンにした場合には5500円のコストがかかる。この金額は首都圏を含めて既設の水素ステーションの販売価格と同程度である。

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