洋上風力発電の実用化を着床式で加速、国の助成先が4地域の港に自然エネルギー(1/4 ページ)

未来に向けて期待がかかる洋上風力発電のうち、実用化が早い着床式の開発プロジェクトを国が支援する。新たに北海道と秋田県の港で進行中のプロジェクトに助成金を交付することが決まった。すでに確定している青森県と茨城県の案件に加えて4地域で開発を促進していく。

» 2016年01月22日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 政府は「着床式洋上ウィンドファーム開発支援事業」を2013〜2017年度の5カ年計画で推進中だ。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を通じて、洋上風力発電の開発に必要な調査費や設計費の一部を助成して事業者を支援する。これまでに茨城県の鹿島港と青森県むつ小川原港(おがわらこう)を選定したが、1月18日に北海道の石狩湾新港と秋田県の秋田港・能代港を加えて対象を拡大した(図1)。

図1 「着床式洋上ウィンドファーム開発支援事業」の助成対象。海域の色が緑から赤になるほど年間平均風速が速い。出典:国土交通省(環境省の資料をもとに作成)

 石狩湾新港は北海道の日本海側に位置して札幌市にも近いことから、道内の食料とエネルギーの供給拠点として発展させる計画が始まっている。その一環で2020年の運転開始を目指して洋上風力発電の開発に着手した。沖合に最大40基の風車を設置して、発電能力は100MW(メガワット)になる予定だ(図2)。

図2 石狩湾新港の全景(上)、洋上風力発電所の完成イメージ(下)。出典:石狩湾新港管理組合、グリーンパワーインベストメント

 発電事業者は日本政策投資銀行などが出資するグリーンパワーインベストメントを中核に、鹿島建設や新日鉄住金エンジニアリングなど有力企業6社による連合体で構成する。現在は環境影響評価の第2段階になる方法書の手続き中だ。順調に行けば2017年に工事を開始する。総事業費は約630億円を見込んでいる。

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