潮流発電の実用化へ前進、新潟・粟島沖で流速を確認自然エネルギー(1/2 ページ)

新潟県は国の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドになっている粟島の沖合で、2015年7月〜12月の5カ月間に流況調査を実施した。計測したデータを分析した結果、夏に速い海流があることを確認した。実用化に向けて遅い流速でも安定して発電できる装置の開発を進めて実証試験に取り組む。

» 2016年02月15日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 粟島の位置。出典:粟島浦村役場

 潮流発電の実証フィールドである粟島(あわしま)は、新潟県の北部から20キロメートルほど離れた位置にある(図1)。面積が約10平方キロメートルの小さな島には、漁業を中心に400人余りが暮らしている。

 粟島の周辺には対馬海流が南西から北東に向かって流れる。潮流発電に適した海域として2014年に国の実証フィールドに選ばれた。新潟県は国の支援を受けて2015年7月8日〜12月10日に、粟島の沖合で流況調査を実施している(図2)。

図2 流況調査の様子(左)、流速計の設置状態(右)。出典:新潟県産業労働観光部

 流況調査は3つのブイを海面に浮かべて、中心部から重りを付けた流速計を海面下4メートルの位置にぶら下げる。この状態で10分おきに流速を計測した。実証フィールドは粟島の北側にあって、地元の漁業協同組合が共同漁業権をもつ海域である。その中の2カ所を観測地点に選んだ(図3)。

図3 海洋再生可能エネルギー実証フィールドの対象海域(上)、流況調査の観測地点(下)。出典:新潟県産業労働観光部

 実証フィールドの西側では7〜9月に、東側では7〜12月に流速を計測した。その結果、東西ともに月間の平均流速は8月が最も速かった(図4)。西側のほうが潮流が速く、最大で0.83メートル/秒の流速を記録した。東側では10月に0.76メートル/秒の最大流速に達している。2つの海域を合わせた調査期間中の平均流速は0.23メートル/秒だった。

図4 月別の平均流速と最大流速。m/s:メートル/秒。出典:新潟県産業労働観光部
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