連載
» 2016年02月16日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2015年版(43)熊本:地熱発電所が湯煙を立ち上げ、県民発電所は太陽光で動き出す (1/3)

熊本県では隣の大分県と同様に地熱発電が盛んだ。温泉地の住民が主導するプロジェクトに続いて有力企業の参入が始まっている。再生可能エネルギーの地産地消を推進する県民発電所も太陽光を中心に拡大してきた。小水力やバイオマスを加えて、地域の豊富な資源の有効活用に取り組む。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本有数の活火山である阿蘇山の周辺地域に、新しい地熱発電所の開発計画が広がってきた。阿蘇山から北へ30キロメートルの位置にある小国町(おぐにまち)では、地元の住民26人を中心に開発を進めた「わいた地熱発電所」が2015年6月に稼働したところだ(図1)。

waita4.jpg
waita1.jpg 図1 「わいた地熱発電所」の周辺地域(上)、発電所の全景(下)。出典:中央電力ふるさと熱電、わいた会

 山深い温泉地に再生可能エネルギーによる発電設備を導入して、地域の活性化につなげることが目的である。発電能力は2MW(メガワット)で、温泉地では珍しいフラッシュ方式と呼ぶ本格的な地熱発電設備を採用した。130度の蒸気を1時間に20トンも使って発電する。

 地熱発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は70%が標準であることから、年間の発電量は1200万kWh(キロワット時)程度になる見込みだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3400世帯分に相当する。小国町の総世帯数(3100世帯)を上回る電力を地熱発電で供給することができる。

 さらに阿蘇山に近い南阿蘇村でも、新しい地熱発電所の開発プロジェクトが始まっている。この一帯も温泉地として有名な場所で、地下から170度を超える蒸気が噴出する。以前は大量の蒸気をホテルの暖房に利用していた。その時に造られたのが「湯の谷温泉熱水プラント」である。現在は蒸気を使っていない状態で、大量の湯煙が立ちのぼっている(図2)。

minamiaso2.jpg 図2 「湯の谷温泉熱水プラント」の噴気の様子。出典:南阿蘇村

 熱水プラントを含む50万平方メートルの土地を対象に、2015年度から地熱資源量の調査が始まった。全国各地に大規模なメガソーラーを展開する発電事業者のレノバが、土地を所有する企業と共同で地表の調査に着手した。地下に十分な地熱資源の可能性を確認できた場合には、発電所の建設に向けて調査井(ちょうさせい)を掘削して地中の資源量を調べる予定だ。

 このほかにも南阿蘇村では湯の谷温泉を含む広い範囲を対象にして、九州電力と三菱商事が地熱資源の調査を実施中だ(図3)。同様に地表部分の調査から取り組んでいる。発電能力が10MW以上の大規模な地熱発電所になると、地表調査から運転開始まで10年以上かかる。1カ所でも実現できれば、南阿蘇村の総世帯数(4700世帯)の3倍を超える規模の電力源が誕生する。

minamiaso1.jpg 図3 南阿蘇村の位置と地熱資源の調査範囲(緑色の枠内)。出典:九州電力、三菱商事
       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.