水素社会を家庭の燃料電池から、総額95億円で補助金制度を新設蓄電・発電機器(1/2 ページ)

政府は家庭用の燃料電池「エネファーム」に対する新しい補助金制度を2016年度に開始する。補助金の対象になる基準の価格を設定して、基準額を超えた場合には補助金を減らす独特のスキームを採用する方針だ。価格の低下を誘導しながら、2020年までに累計140万台の普及を目指す。

» 2016年02月19日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 家庭用の燃料電池「エネファーム」はガスから水素を生成して電力と温水を供給する日本独自のエネルギー供給システムである。エネルギー効率が90%前後に達して、発電時にCO2(二酸化炭素)を発生しないことから、未来に向けたクリーンエネルギーの供給源として期待は大きい。

 2009年に世界に先がけて最初の製品が登場して以来、これまでに国内で約15万台が普及している。合わせて販売価格の低下が進んだものの、2014年からは足踏み状態にある(図1)。こうした状況を改善するために政府は2016年度から新方式の補助金制度を開始する予定だ。

図1 エネファームの普及台数と平均販売価格。出典:資源エネルギー庁

 新制度ではエネファームの価格と工事費を合わせた金額に基準を設けて、基準価格以下の場合に満額の補助金を交付する。普及タイプのPEFC(固体高分子形燃料電池)を搭載した製品の補助金は15万円、高効率タイプのSOFC(固体酸化物形燃料電池)を搭載した製品では19万円になる(図2)。

図2 タイプ別の補助額。PEFC:固体高分子形燃料電池、SOFC:固体酸化物形燃料電池。出典:資源エネルギー庁

 機器と工事費の合計額が基準価格を超えると、補助金は半分以下に減る。さらに基準価格の上に「裾切価格」が設定されていて、それを上回る場合には補助金は受けられない。PEFCの裾切価格は142万円、SOFCは169万円に設定した(図3)。2015年5月末時点のエネファーム全体の平均販売価格は145万円で、大半はPEFCである。補助金の基準価格と裾切価格はかなり低い水準だ。

図3 エネファームの導入費(機器価格+工事費)に対する基準価格と裾切価格。出典:資源エネルギー庁
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