家庭向けの電力販売で東京ガスが先行、申し込みが5万件を突破電力供給サービス(1/2 ページ)

東京ガスが家庭向けに提供する電力の申し込みが2月23日の時点で5万4000件に達した。新規参入組の中では東京電力の管内で4割のシェアを占める勢いだ。2月1日に電気料金を引き下げた効果が大きく、1カ月足らずで申込件数が5倍に増えた。一方で顧客から不満の声も届いて改善策を実施した。

» 2016年02月26日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京電力の管内で先頭を切って家庭向けの電力販売に乗り出した東京ガスが、2月に入って順調に申込件数を伸ばしている。1月末に1万1000件だった申込件数が2月23日の時点で5万4000件に拡大した(図1)。

図1 東京ガスが獲得した電力供給の申込件数。出典:東京ガス

 電力会社から契約を変更するスイッチングを仲介する電力広域的運営推進機関の集計によると、全国のスイッチング件数は2月12日までに14万件に達した。このうち東京電力の管内が9万件を占める。2月1日以降の東京ガスの申込件数を営業日数で単純平均すると、2月12日の時点では累計で3万5000件になる。競争の激しい関東圏で約4割のシェアを獲得している。

 東京ガスは年明け直後の1月4日に、家庭や商店を対象にした「ずっとも電気」の申し込みを受付開始した。東京電力よりも安い価格を設定したうえで、ガスとセット割引も加えて販売攻勢をかけた。ところが追随する小売電気事業者が割安な料金プランを相次いで発表したため、1月末の時点では申込件数が1万1000件にとどまっていた。

 そこで東京ガスは2月1日に電気料金の引き下げを発表して価格面の競争力を高めた。モデルケースの家庭(月間使用量392kWh)では、当初の電気料金よりも年間に3700円下がる(図2)。東京電力の現在の標準プラン「従量電灯B」と比べると、セット割引を含めて8500円安くなる。新料金を打ち出したことで、2月に入ってから16営業日のあいだに4万3000件の申し込みを獲得した。

図2 「ずっとも電気」の料金改定によるメリット(月間使用量392kWhの場合。画像をクリックすると拡大して注釈も表示)。出典:東京ガス
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