勃興する「新電力立ち上げ」ビジネス、支援企業が増加スマートエネルギーWeek 2016(1/3 ページ)

2016年4月の電力小売全面自由化を控え、新規参入企業が増加している。こうした中で“黒子”として新たな電力小売事業者の立ち上げを支援する企業などが登場してきている。

» 2016年03月02日 16時00分 公開
[三島一孝ITmedia]

 エネルギーに関する総合展示会「スマートエネルギーWeek 2016」(2016年3月2〜4日、東京ビッグサイト)内で、2回目となる「電力自由化 EXPO」が開催されているが、その中で存在感を増しているのが、電力小売全面自由化で注目を集める新規参入事業者を支援する企業である。

 2016年4月の電力小売全面自由化に向け、電力会社やガス会社、通信会社などの大手企業が相次いで新料金プランを発表。「安さ」や「セット割引」などを武器に、既存市場の切り崩しに力を注いでいるところだ。これらの全国規模の“陣取り合戦”の一方で、自由化による新たな動きとして注目を集めているのが、電力の地産地消の動きである。地域で発電した電力を地域内で流通させ、販売するという流れは、電力の送配電ロスを削減できるだけでなく、地方創生につながる取り組みとして地域経済活性化に対する期待を集めている。

 ただ、地方で自治体や企業が電力事業に参入しようとしても電力小売に関するノウハウやシステムなどがない。そこで注目を集めているのが、「新電力立ち上げ支援ビジネス」である。

地域新電力創出を支援するスマートテック

 地方発の新規電力小売事業者立ち上げを立て続けに行っているのがスマートテックである。スマートテックは茨城県水戸市を本拠とし2005年に創業。オール電化などを中心に住宅のリフォーム事業を展開してきた。2011年の東日本大震災以降、太陽光発電事業にも本格的に参入。総合エネルギー企業として、電力小売事業などの展開も行っている。

 同社が地方発の新たな電力小売事業者として立ち上げたのが、サッカーJ2リーグ所属の水戸ホーリーホックと共同出資で設立した「水戸電力」である(関連記事)。水戸電力は単純な電力の販売とその収益を得るというだけのビジネスモデルではなく、地域コミュニティーとの連携により、スポーツなどを組み合わせ地方活性化に向けた取り組みを行うことにより、付加価値を生み出そうとしていることが特徴である(図1)。新たにHEMSの配布や水戸ホーリーホックのサポーター向け料金プランを計画するなど、地域ならではの取り組みを行うことで特色を出そうとしている。

photo 図1 水戸電力の事業スキーム 出典:スマートテック
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