林業の新たな光となるか、初開催の国際バイオマス発電展スマートエネルギーWeek 2016(1/2 ページ)

再生可能エネルギーとして注目を集めるバイオマス発電。2016年3月2日から4日まで東京ビッグサイトで開催された「第1回 国際バイオマス発電展」には今後の市場拡大が期待されるバイオマスに関連した製品・技術・サービスが展示された。

» 2016年03月10日 13時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 バイオマス発電は、太陽光、風力発電に次ぐ再生可能エネルギーとして注目されている。循環型社会やエネルギーの地産地消の実現を可能とするバイオマスの種類は木材、穀物、動物のふん尿、生ごみなど多岐にわたっている。2016年3月2日から4日まで東京ビッグサイトで開催されたエネルギーの総合展示会である「スマートエネルギーWeek 2016」(2016年3月2〜4日、東京ビッグサイト)内では、初めてバイオマスに関する展示会「第1回 国際バイオマス発電展」が開催された。

 バイオマス発電は木くずや燃えるごみなどを燃焼する際の熱を利用し電気を起こす発電方式だ。電気とともに発電時の排熱は周辺地域の暖房や温水として有効活用ができる他、未活用の廃棄物を燃料とすることで、廃棄物の再利用や減少につながり、循環型社会構築にも貢献するなどのメリットがある。

 正確にはバイオマス発電はCO2を発生することになるが、そのCO2は原料となる植物が成長するためには光合成により二酸化炭素を吸収してきたものであるため、これらを相殺される。これを「カーボンニュートラル」という。バイオマスは燃焼させてCO2を排出しても地球全体のCO2濃度には影響を与えない。そのため地球上の炭素の自然な循環の中に入っていると見なされ、再生可能エネルギーだと認定されている。

超小型バイオマス発電機が登場

 最近では木質バイオマス発電所の建設が増加しており、今回の展示会でも木質バイオマス関連企業の出展が目立った。

 特に大きな注目を集めたのが、VOLTER Japan(電現ソリューション)である。同社は超小型木質バイオマス発電パッケージ「Voltre4.0」の実機を出品した。フィンランド製の40kW木質バイオマスCHPシステムで、幅1.2×長さ4.8×高さ2.5メートルとコンパクトなユニットにガス化炉から発電機までを収納している。熱電併給により最大78%という高いエネルギー効率を実現しており、さらに並列設置により、近隣から搬出可能なバイオマス資源量に応じて40kW(キロワット)からメガクラスまでの発電所まで自由度の高いプラント開発が可能だ(関連記事)(図1)。

photo 図1 VOLTER Japanの超小型木質バイオマス発電パッケージ「Voltre4.0」

 木質燃料などを燃焼するボイラーや発電機を取り扱うメーカーではイクロス(大阪府堺市)がバイオマスボイラーの「バイアー」を、パネルなどを使い紹介した。バイラーは木質燃料、RPF(廃プラスチック固形燃料)、RDF(廃棄物固形燃料)を使用し、温水や蒸気・温風とさまざまな熱利用を行うシステムだ。木質チップやペレットを燃焼しクリーンな高温燃焼を維持する。バイラーと発電機を組み合わせて小型発電システムの構築ができ、地産地消型の300kWクラスの規模の発電所を中心に導入を進めている。

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