北欧発の“超小型”バイオマス設備が日本上陸、「新市場を作りたい」蓄電・発電機器(1/2 ページ)

フィンランドのVolter社が開発した“超小型”のバイオマス発電設備「Volter 40」が日本で発売される。国内ではVolter Japanが販売を行い、既に秋田県北秋田市で地域の間伐材を活用したエネルギーの地産地消プロジェクトへの採用が決まっている。「第1回 バイオマス発電展」に出展したVolter Japanは、同製品の受注開始に伴い会見を開き、日本の木質バイオマス発電市場の現状と今後の事業展開について語った。

» 2016年03月07日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 生物由来の資源を利用してエネルギーを生むバイオマス発電。森林資源を持つ日本は一見、間伐材などの未利用材を使った木質バイオマス発電を行いやすい環境に思える。しかし実際には事業採算性を考えた際の発電設備の規模と、燃料となるチップの安定的な供給の両立が難しいなど、課題も多く残っている。

 こうした日本の木質バイオマス発電市場に対し、北欧製のユニークな小型発電設備で新市場を切り開こうとしているのが、再生可能エネルギー事業を手掛ける電現ソリューション(東京都港区)だ。

 同社はフィンランドのバイオマス発電設備メーカーであるVolter社と共同でVolter Japanを設立し、Volter社が開発する小型木質バイオマス発電設備「Volter 40」を国内で展開していく(図1)。Volter Japanは「第1回 バイオマス発電展」(2016年3月2〜4日、東京ビッグサイト)に出展し、同社のブースでVolter 40の実機を披露した。

図1 「Volter 40」の外観(クリックで拡大)

小型設備が電気と熱を同時に生む

 Volter 40は外形寸法4.8×幅1.2×高さ2.5メートル、重さ4.5トンの小型バイオマス発電設備。小型であることに加え、屋内に設置できる仕様であることが大きな特徴だ。設置した際は排気のみを屋外に排出する(図2)。

図2 「Volter 40」の使用 出典:電現ソリューション

 水分量15%以下の木質チップを燃料に電力を40kW(キロワット)、さらに100kW相当の熱エネルギー(温水)を生み出すことができる。燃料の木質チップは1時間当たり38キログラム消費する。電力と熱を合計したエネルギー効率は78%で、年間7800時間(24時間運転×325日)の運転が可能だ。価格については「4000万円以下には抑えたいと考えている」(ブース担当者)としている。

 Volter 40は2016年3月4日より受注を開始。Volter Japanはこれに伴い同日にバイオマス発電展の同社ブースで会見を開き、今後の事業展開などについて説明した。

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