北欧発の“超小型”バイオマス設備が日本上陸、「新市場を作りたい」蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2016年03月07日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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「まだ日本にない小型の木質バイオマス市場を作りたい」

 電現ソリューションの代表取締役で、新設するVolter Japanの代表取締役CEOを務める岩崎聡樹氏は、Volter 40の国内での販売について「日本国内の木質バイオマス発電市場は大型の発電設備を利用しているものが多いが、チップ供給などの課題点も多い。市場の状況としては足踏み状態にあると捉えている。われわれは2年程前からバイオマス発電市場への参入を検討してきたが、こうした背景から大型の発電設備で参入するのは厳しいと考えた。その時にVolter社のVolter 40という製品と出会い、ぜひこれを日本で展開していきたいと考えた」と述べる。

Volter Japanの代表取締役CEOを務める岩崎聡樹氏

 続けて今後については「まだ国内にはVolter 40のような小型発電設備を用いた木質バイオマス市場というのは存在していないと考えている。つまりオペレーションや、メンテナンスの基準というのも確立していない。国内にはVolter 40以外の小型発電設備も導入されているが、他社とも情報も共有しながら、日本に小型の木質バイオマス市場を作っていきたいと考えている」と語った。

 Volter 40は海外では農場や公共・商業施設、学校などさまざまな場所で利用されており、英国では年間50台程度のペースで受注があるという。日本国内では主に地域におけるエネルギーの地産地消のニーズに向けて販売していく計画だ。「電力と熱を生むコージェネレーションシステムという特性を生かし、温泉施設やハウス栽培施設などにも活用できると考えている」(Volter Japan)

まずは北秋田市に導入

 Volter JapanではVolter 40の国内1号機を秋田県北秋田市にある「道の駅たかのす」に設置する。北秋田市は面積の83%を森林が占めている。施設で消費するエネルギーを地域の木質バイオマス資源を使って生み出すことで、エネルギーの地産地消を図る計画だ。

 会見に登壇した北秋田市の市長を務める津谷永光氏はVolter 40の導入について、「北秋田市には豊富な森林資源があり、これまで多くの事業者の方がバイオマス発電の検討に向けて調査を進めてきた。地方創生がさけばれる中で、われわれとしてもこうした動きを支援してきたが、秋田県内では多くの大型の木質バイオマス発電が始まっており、チップ供給とコストの問題などで北秋田市内で実現することは難しかった。そのため現在も間伐材などが山の中に捨てられている状態であり、こうした資源をなんとか活用してエネルギーの地産地消を実現し、地方創生への取り組みを進めていきたいと考えた」と語った。

 北秋田市にはVolter 40を導入するだけでなく、Volter Japanの本社や製品の組み立て工場なども設置して北秋田市を同社の日本国内事業の拠点にする。そしてVolter Japan、北秋田市、地域の信用組合が協力しながら、同市内におけるVolter 40を活用したエネルギーの地産地消プロジェクトをさらに推進していく計画だという。

岩崎氏と津谷氏
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