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» 2016年03月24日 13時00分 UPDATE

法制度・規制:いまさら聞けない「フロン排出抑制法」、ついに始まる「漏えい量」の報告義務 (1/4)

「フロン排出抑制法」が2015年4月1日に施行されてから間もなく1年が経過する。今回の改正では業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器の管理者には機器およびフロン類の適切な管理が義務付けられた他、一定の量フロンが漏えいした場合には国への報告が必要になった。環境省はこのほどこのフロン排出抑制法に関するセミナーを開催し、あらためて改正のポイントを説明するとともに、イオン、ローソンなどの企業が自社の対策状況について語った。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 「フロン回収・破壊法」の一部を改正した「フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律」(以下、フロン排出抑制法)が2015年4月に全面施行された。施行から間もなく1年が経過するが、2016年4月からフロン類を使用する機器を所有する企業の一部は、新法に基づいてフロンの漏えい量の報告を行う必要がある。いよいよ本格的な対策が必要になってきた。

 環境省は2016年3月23日、東京都内で「フロン排出抑制セミナー」を開催し、あらためて今回のフロン排出抑制法が制定された背景や従来法と異なる点などを紹介した。そして実際にフロン機器を扱う企業が登壇し、新制度への具体的な対応事例なども紹介された。

法改正が行われた背景とは

 エアコンなどの空調機器や冷凍冷蔵機器の冷媒として利用されるフロン類。さまざまな種類のものがあるが、CFC、HCFCなどオゾン層を大きく破壊する性質を持つものは「特定フロン」として、1980年代から国際的に使用が制限されてきた。その結果、特定フロンに置き換わるかたちでHFCなどの「代替フロン」が広く普及した。しかし、この代替フロンはオゾン層への影響が少ないものの、CO2の数千〜数万倍以上の強力な温室効果を持つ。そのため、地球温暖化防止の観点から代替フロンの排出抑制が求められている。

rk_160316_huron01.jpg 環境省の佐川氏

 日本のフロン類を使った機器の利用に関する規制は、これまで「フロン回収・破壊法」が担っていた。しかしこの従来法では使用時に漏えいするフロンについては規制の対象外となっていた。しかし政府の調査で実際には使用時の漏えいによる排出量が多いということが分かってきた。そこでこうした漏えい量の抑制も考慮した新法として、フロン排出抑制法が施行された。

 環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 フロン対策室 係長の佐川龍郎氏は「特に別置型ショーケースの漏えい量が多いことがわかっている。従来のようにフロンの回収と破壊だけにフォーカスするのではなく、フロンのライフサイクル全体をターゲットにしているのがフロン排出抑制法の特徴だ」と述べる。

機器の使用者に管理義務が発生した点が大きなポイントに

 では具体的にフロン排出抑制法では、従来法とどのような点が異なるのか。まず、フロン類の輸出入を行うガスメーカーは、フロン類の地球温暖化係数(GWP)をより低くし、さらにフロン類以外への代替、代替ガス製造のための設備の整備、フロン類の回収・破壊・再生といった取り組みが求められている。国が制定するフロン類の仕様見通し計画を踏まえて、削減目標などを示す「フロン類の使用合理化計画」の作成も必要だ(図2)。

 フロン類を使用した機器を製造するメーカーも対象になる。こちらは家庭用/店舗・オフィス用エアコンディショナー、自動車用エアコンディショナーといった製品区分ごとにGWPの低減目標などが定められている。製造メーカーはこの目標値を念頭に置いて製品開発を進めていく必要がある(図3)。

rk_160316_huron02.jpgrk_160316_huron03.jpg 図1 フロン類の輸出入業者に求められる取り組み/図2 製造メーカーが取り組む必要がある製品区分ごとのGWP低減目標の一覧(クリックで拡大)出典:環境省

 そしてこの他に、特に重要な改正のポイントとなっているのが、「規制対象機器の拡大」と「対象機器の使用者にも管理・報告義務が生じる」という2点だ。

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