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» 2016年04月22日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:電線から失われる電気を守れ、実際の配電網を使った国内初の実証試験

早稲田大学と東京電力パワーグリッドは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)で、配電網の電力損失最小化の共同実証試験を開始する。期間は2016年4月から2020年3月までの予定。

[長町基,スマートジャパン]

 電力は発電したものが全て消費されているわけではない。発電所から家庭で利用されるまでにさまざまな箇所でロスが発生するからだ。その中でも大きなロスが発生しているのが電線などを通じて配電する送配電網だといわれている。スマートグリッドなどを実現する中でもこうした送配電ロスをどう解消していくのかという点は大きな課題だといえる。

 こうした中、早稲田大学と東京電力パワーグリッドは、一部地域の配電網を用いて、配電損失電力が最小となる配電網構成のための最適な運用方法の検討などを行うために実証試験に取り組む。送配電網のロスは「熱」のためだ。配電線に電気が流れることにより熱(ジュール熱)が発生し、その熱が電力損失となる。長い配電線を電気が流れる場合や、流れる電気が大きい場合に電力損失は大きくなるため、この電力損失最小化を目指す。最適な配電線構成の実現を実証することが目的である。

 早稲田大学は、配電損失電力を最小化する手法を活用して、電柱にセンサー内蔵開閉器(開閉器設置地点の電圧・電流の計測ができる)などを設置した実際の配電網を用いて、電気の流れ方を最適に制御することを検証する。

 東京電力パワーグリッドは、センサー内蔵開閉器で計測するデータを用いて、損失電力の削減効果を実測により評価・検証することで、電力の供給信頼度などへの影響を考慮し、配電損失電力が最小となる配電網構成の運用を検討する。具体的には高速演算可能な配電損失最小配電網構成計算プログラムを組み込んだ配電網構成最適化システムを早稲田大学と共同で開発。同システムに配電制御システムを通してセンサー内蔵自動開閉器の計測電力情報を伝送し、配電損失電力が最小となる配電網構成を導出する。その後、各開閉器にオン・オフの制御指令を伝送して配電網構成の切り替えを行い、配電網構成切り替え前後の配電損失電力削減量を評価する(図1)。

photo 図1 東京電力パワーグリッドと早稲田大学が共同で実施する配電損失電力最小化実証のイメージ図(クリックで拡大)出典:東京電力パワーグリッド

 なお、配電網の電力損失最小化を目的とした最適な設備構成に関して、実際の配電網を活用した実証試験を実施するのは国内初の取り組みとなる。早稲田大学とJSTおよび東京電力パワーグリッドは、今回の実証試験を通じて、電気エネルギーを最大限有効活用できる配電網構成を実現し、低炭素社会の鍵となるスマートグリッドの実現に取り組む。

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