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» 2016年05月20日 15時00分 UPDATE

省エネ機器:超省エネを実現する高温超電導、実用化が近い4分野を選定

さまざまな分野の省エネに繋がるとして普及が期待されている超電導技術。NEDOは超低温まで冷却せずに超電導状態を得られる「高温超電導」の実用化を促進する4つの技術開発プロジェクトに着手する。

[長町基,スマートジャパン]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、高温超伝導技術の実用化に向けた4つのプロジェクトに着手すると発表した。これまで進めてきた既存プロジェクトを包含・進展するもので、事業化に近い段階のテーマから基盤技術開発、実証技術開発を総合して実施する。事業名は「高温超電導実用化促進技術開発」で、事業総額は81億円規模となる見込みだ。

 電力分野では「電力送電用高温超電導ケーブルシステムの実用化開発」に取り組む。電力分野では分散化する発電所から集中化傾向にある需要地にエネルギーロスを最小限に抑えて送電を行う送電技術の確立が必要となっている。

 今までのプロジェクトでは、直流・交流ともに一定距離の送電が可能なことを実証した。今回のプロジェクトでは、超電導ケーブルの外部からの不測の事故(地絡・短絡・外傷)時に生じる現象と影響を把握することにより、実用化に不可欠な安全性確保のための技術を確立するとともに、事故・故障発生時の復旧ガイドラインを策定する(図1)。助成予定先は東京電力ホールディングス、住友電気工業、古河電気工業、前川製作所(事業期間2016〜2018年度)と石狩超電導・直流送電システム技術研究組合(同2016年度)。

図1 高温超電導ケーブルシステムのイメージ 出典:NEDO

 運輸分野では「運輸分野への高温超電導適用基盤技術開発」を推進。低損失・大容量送電が可能な鉄道き電線(電車線に電力を供給する電線)システム開発と、安全性および信頼性の実証を総合的に実施する(図2)。都市部を中心とした鉄道輸送力を高める送電技術の開発を目指し、実用化の重要な課題である長距離冷却技術を開発、実証する。委託予定先は鉄道総合技術研究所(同2016〜2020年度)。

図2 鉄道き電線への適用イメージ 出典:NEDO

 産業分野では磁気共鳴画像装置(MRI)分野への適用を狙った「高温超電導高安定磁場マグネットシステム技術開発」がテーマとなる。高価であることに加えて供給が不安定という課題があるヘリウムを必要としないヘリウムレス、省エネルギーおよびシェア拡大に資する高温超電導高磁場マグネットシステムの開発に取り組む。さらに、今後、永久電流モードでの安定高磁場生成のための超電導接続技術の実現に向けた研究開発を実施する。委託予定先は三菱電機、産業技術総合研究所と古河電気工業(同2016〜2020年度)。

 また「高温超電導高磁場コイル用線材の実用化技術開発」をテーマに、超電導応用商品実現のための基盤技術開発として、超電導マグネット用途の要求を満たす磁場特性の向上ならびにコスト低減を目指す高温超電導線材の技術開発を実施する。委託予定先はフジクラと産業技術総合研究所(同2016〜2018年度)である。

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