オーストラリアの研究グループが非集光型の太陽電池モジュールの変換効率で、世界最高効率を更新した。従来の24%を上回る変換効率34.5%のモジュールを開発したという。
オーストラリアのUniversity of New South Wales(UNSW)の研究研究グループは2016年5月、非集光型の太陽電池モジュールで変換効率34.5%を達成したと発表した。非集光太陽電池モジュールの変換効率では世界最高記録になるという(図1)。
開発した太陽電池モジュールは、プリズムを利用して分光した太陽光を、それぞれに最適な太陽電池セルで電力に変換していく仕組みだ。開発したのは4接合型の太陽電池モジュールで、モジュール面積は28平方センチメートルである。
900〜1500ナノメートルの波長は、シリコン系の太陽電池に照射する。その他の分光した太陽光については、3接合型の太陽電池セルに照射する。波長に合わせて最適な太陽電池セルを利用することで、全体の変換効率を高める仕組みだ(図2)。
研究グループが開発した太陽電池モジュールの変換効率34.5%は、米国のNational Renewable Energy Laboratory(国立再生可能エネルギー研究所)によって認定を受けている。これまでの非集光型太陽電池の変換効率の世界記録は、米Alta Devices社が達成した24%。今回のUNSWによる成果はこれを44%程度上回った。
なお非集光型太陽電池では、理論上のエネルギー変換効率の限界値は35%前後とされている。今回UNSWの研究グループが開発した太陽電池モジュールは、ほぼ限界値の変換効率を達成したことになる。
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