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» 2016年05月31日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:送るだけで家庭が省エネになるスゴい「レポート」、鍵は行動科学とデータ解析 (1/2)

太陽光発電やHEMSなど、住宅分野の省エネ対策にはさまざまな種類がある。こうした施策の1つとして、各世帯に対してあるレポートを「送るだけ」で省エネが進むという実証結果が公開された。住環境計画研究所とオーパワージャパン、北陸電力が2万世帯を対象に実施したもので、約1.2%の省エネ効果があったという。鍵となるのは行動科学とビッグデータ解析だ。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 住環境計画研究所は2016年5月25日、オーパワージャパン、北陸電力と共同実施した省エネ実証事業の成果を公表した。経済産業省資源エネルギー庁の「平成27年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業」の一環として実施したもので、ビッグデータ解析と行動科学を応用して作成した「ホームエネルギーレポート」(以下、レポート)を送付することで、2カ月後に約1.2%の省エネ効果を確認できたという。

「ホームエネルギーレポート」とは?

 実証実験は北陸電力管内から無作為抽出した約2万世帯を対象に実施。各世帯に冬季の電力ピーク期間に相当する2015年12月〜2016年1月の2カ月間、月に1度レポートを送付し、消費者の省エネルギー意識の向上や省エネルギー行動にどういった影響を与えるかを検証した(図1)。

 同時に同電力管内からレポートを送付しない比較対象世帯を同じく2万世帯抽出することで、レポートの送付による電力使用量の変化などの省エネ効果を比較検証できるようにした。省エネ意識の変化や省エネ行動への影響については、レポート送付後の2016年2月に送付世帯・比較対象世帯のうち、約1500世帯に電話アンケート調査を行い分析した。

図1 実証実験の概要と実施体制(クリックで拡大)出典:住環境計画研究所

 実証で送付したホームエネルギーレポートは、単にその世帯の電力使用状況などが記載されているだけでなく、行動科学の知見、ビッグデータ解析による情報が生かされているのが大きな特徴だという。例えばよく似た近隣の100世帯と自分の家庭を比較し、「省エネ上手かどうか」といった評価が「大変良い」「良い」「もう少し」という3段階で記載されている。加えてあまり省エネが進んでいない世帯に対しては、こうした比較結果を「省エネ上手な家庭より電気料金がこれくらい高い」と明記することで、損失を印象的に伝えている(図2)。

図2 送付したホームエネルギーレポートの概要(クリックで拡大)出典:住環境計画研究所

 この他にも現時点の電力使用量を前年実績と比較したデータ、さらに各世帯用にカスタマイズした省エネアドバイスなども記載している。省エネ施策のアドバイスは人間の「選択肢が多すぎると選べなくなる」という傾向に配慮し、3種類に絞って掲載している。さらにこの3種類の中には「取り組みやすいもの」と「難易度が高いもの」を織り交ぜるといった工夫を加えた。

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