実証実験の結果、レポート送付の1カ月後は0.9%、2カ月後は 1.2%の省エネ効果を確認できた。仮に月次の省エネルギー効果が1.2%で維持された場合、2万世帯の年間の省エネ効果は約226万kWhになると推計される。こうしたエネルギーレポートの送付を活用した世帯の省エネ施策は既に海外でも行われているが、今回の成果は諸外国の類似事業の早期段階と比べても同等以上の効果に相当するという(図3)。
今回の送付期間は2カ月間のみだったが、その後も継続したと仮定した場合の省エネルギー効果は、1.5〜2.0%程度を見込めるとしている。仮に1.2〜2.0%の省エネ効果を日本全国の世帯に拡大できた場合、年間の電力削減効果は約28〜47億kWh(キロワット時)になる。これは住宅用太陽光発電50〜80万件分の発電量(投資金額0.9〜1.4 兆円)のエネルギー削減ポテンシャルに相当する量だ。
レポートを送付した2万世帯のうち、どのくらいの世帯が目を通したのか。今回の実証ではレポート送付世帯の8割が受領を認知しており、そのうち9割がレポートを閲覧したという。また、レポートを受領した世帯では送付していない世帯より省エネ意識、省エネ行動の割合が高まった。いずれもよく似た世帯との比較評価が「もう少し」の世帯ほどレポートに強く反応し、より省エネ行動につなげる傾向があるとしている(図4)。
また、レポートの送付に対する印象では、調査対象の約55%が「レポートに良い印象を持っている」と回答した。さらにこうしたレポート受領による電力会社に対するイメージの変化では、約34%が「イメージが良くなった」と回答している(図5)。
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