地方創生の主役となるか、バイオマスコージェネシステムの地産地消モデル:自然エネルギー
洸陽電機と三洋貿易は、バイオマスコージェネレーションシステムの販売拡大などで提携することを発表した。
エネルギー関連事業を展開する洸陽電機と専門商社の三洋貿易はこのほど、ドイツのブルクハルト社製木質バイオマスコージェネレーション(熱電併給)システムの販売拡大や導入促進について提携することに合意した。
三洋貿易は、同システムの日本総代理店として販売・メンテナンス体制の整備を進め、洸陽電機は、エンジニアリングやメンテナンスの他、熱電併給を活用したエネルギー事業組成を支援する。今回の提携により電気だけでなく熱利用も含めたエンジニアリングを行い、高効率仕様のバイオマス熱電併給事業を推進していく(図1)。
図1 ブルクハルト社製ガス化ユニットと熱電併給ユニット 出典:三洋貿易
同システムは、未利用木材などから加工した木質ペレットを燃料として発電を行い、発電時に発生する排熱をペレット製造用や温浴施設、温室などの熱源として利用する。発電だけの効率は30%だが、熱利用も組み合わせることで総合効率が75%に高まる。ボイラーなどの直接燃焼発電方式のシステムと比べて木材使用量が約3割削減できるため、より少ない木材量で資源のエネルギーを有効活用することが可能だ。また、木材の調達量が少なく済むことで調達エリアを狭めることができ、輸送コストを削減できるなど、事業採算性の向上に寄与する。
さらに同システムは、複数台を連結することで50kW〜2000kWまでの発電量に対応し、地域の資源量や熱需要に応じて幅広い要望に対応できる。展開方法としては、1MW〜2MWクラスのコアサイトを建設し、そこで余剰ペレットを生産し、地域の燃焼系ボイラーやストーブを面的にペレット仕様のものに更新していくことで、エネルギーの域外流出を防ぎ、地域経済圏を確立する。それにより今まで太陽光発電だけではできなかった発電所やペレット工場での継続した雇用につながることが期待される(図2)。
図2 地産地消の展開イメージ 出典:三洋貿易
両社は、今後、同システムを地産池消の事業モデルとして全国の市町村や木材集積地の土場などに展開し、5 年間で計5万kW以上の開発を推進していく方針だ。
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