太陽光発電を丸ごと提供、「M型工法」で狭い土地でも発電量アップ太陽光

「狭い土地になるべく多くのパネルを設置したい」「設備認定は取得したが土地面積が少なく認定時のパネル容量を確保できない」ーー。NTTファシリティーズはこうした発電事業者が抱える課題をターゲットにしたパッケージ型の太陽光発電システムを発売した。M型にアレイを構成することで、敷地面積当たりのパネル容量の増加を図り、発電量のアップにも貢献する。

» 2016年07月01日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 NTTファシリティーズは太陽光発電の総合展示会「PV Japan2016」(2016年6月29日〜7月1日、パシフィコ横浜)に出展し、6月29日に発表した太陽光発電に必要なシステムをパッケージ化して提供する新商品「FソーラーパッケージMタイプ」(以下、ソーラーパッケージ)を紹介した(図1)。

図1 「FソーラーパッケージMタイプ」をイメージした模型。パネル設置容量は1962kW

 2012年7月1日にスタートした再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)により太陽光発電所の導入が一気に進んだ。その影響で発電に適した広い土地も減少しており、買取価格の引下げが続く中で事業採算性を見込むことが以前より難しくなっている。また、既に設備認定は取得したものの、土地面積が少なく認定時のパネル容量を確保できないといった未稼働案件も多く残っているという。

 同社のソーラーパッケージはこうした「既に限られている敷地面積の中で、効率よく太陽光発電事業を行いたい」というニーズを狙った商品だ。太陽電池パネル、架台、パワコンをユニット化しており、一般的な太陽光発電所より敷地面積当たりの太陽電池パネル設置容量と発電量を増やせるメリットをうたう。

 設置容量の増加に貢献するのがパネルをMの形となるように配置する工法の採用だ。横から見るとパネルがM字になるようアレイを東西方向に配置していく。これにより隣接するパネルの影を避けるための隙間が不要となり、敷地面積当たりのパネル容量を増やせる。同社ではこれまでパネルを南北方向に設置するソーラーパッケージも展開していたが、これと比較して敷地面積当たりの太陽電池パネル容量を20〜40%増やせるという(図2)。

図2 Mの形にアレイを構成することで、敷地を効率良く活用する 出典:NTTファシリティーズ

 東西方向それぞれに向けてパネルを並べることで、午前中は東側のパネルが、午後は西側のパネルが多く発電することになる。その場合にパワーコンディショナーなどのMPPT(最大電力点追従制御)を活用して、日中を通して発電量を最大化し、発電所全体の発電量をアップできるように施工する点も特徴とする。これにより年間発電量を10〜30%向上させられるという。

 NTTファシリティーズではソーラーパッケージを今後構築する予定の自社発電所に導入するとともに、事業採算性の確保や設備認定の条件を満たせない点を課題としているユーザーを中心に提案を進めていく方針だ。2016年度はソーラーパッケージで売上高8億円を目指すとしている。

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