再生可能エネルギーの電力が前年比1.5倍に、2015年度の買取量は1200万世帯分自然エネルギー(1/2 ページ)

固定価格買取制度による再生可能エネルギーの電力が着実に増えている。2015年度の買取量は前年から1.5倍に拡大した。一般家庭の使用量に換算して1200万世帯分の電力に相当する。そのうち約7割は太陽光だが、風力とバイオマスもそれぞれ1割以上の電力を生み出している。

» 2016年07月14日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 資源エネルギー庁がまとめた2016年3月時点の最新データによると、固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始した再生可能エネルギーの発電設備は累計で3726万kW(キロワット)に達した(図1)。1年前の2758万kWと比べて968万kWの増加である。発電能力を単純には比較できないものの、大型の原子力発電所10基分に相当する発電設備が1年間で稼働したことになる。

図1 固定価格買取制度による再生可能エネルギーの導入・買取・認定状況(2016年3月時点。画像をクリックすると拡大)。各欄の下段の数字は前月比。バイオマスは燃料の比率を反映。出典:資源エネルギー庁

 さらに運転開始前の発電設備を加えると8732万kWになり、全国にある原子力発電所43基(廃炉決定分を除く)を合わせた4120万kWの2倍以上の規模に拡大する。大規模・集中型で災害時に供給力の不安がある原子力発電から、小規模・分散型で電力を地産地消できる再生可能エネルギーの発電設備へ、電力供給の構造変化が確実に進んでいる。

 運転を開始した発電設備の増加に伴って電力の買取量も増えている。2016年3月の買取量は過去最高の42億kWh(キロワット時)で、前年3月の28億kWhから1.5倍に拡大した(図2)。このうち太陽光が72%を占める。次いでバイオマスが13%、風力が11%、中小水力が3%、地熱は1%以下である。天候の影響を受けないバイオマス・中小水力・地熱の合計で16%にとどまる点が引き続き大きな課題である。

図2 月間の買取電力量の推移(画像をクリックすると拡大)。単位:万キロワット時。資源エネルギー庁の公表データをもとに作成

 2016年度の年間を通じた買取量は432億kWhにのぼり、2015年度の286億kWhから1.5倍に増えた。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると1200万世帯分に相当する。日本全体の総世帯数5600万の2割以上をカバーできる電力になる。

 買取金額も年間で1兆5495億円に拡大した。電力1kWhあたり36円弱で、火力発電と比べて3倍以上も高い水準になっている。当面は30円を上回る買取金額が続いていく。一方で石油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が下がって火力発電のコストが低下している。今後も再生可能エネルギーが増えるのに伴って、価格の高い石油を中心に火力発電が減り、発電コスト全体のバランスが保たれる見通しだ。

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