下水汚泥を使うCO2フリー水素製造、ガイドライン策定へ自然エネルギー(1/2 ページ)

国土交通省では下水処理場で発生する下水汚泥を活用した水素製造事業の普及に向け、宮城県、奈良県、静岡県三島市で実現可能性調査を実施する。調査結果はガイドラインとしてまとめる計画だ。CO2フリーな水素製造方法として期待される下水汚泥の活用を後押しする。

» 2016年08月19日 13時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 新しい再生可能エネルギー源として、下水処理場で発生する下水汚泥を活用する動きが広がっている。他のバイオマス(生物資源)を使った発電事業と比較しても、下水汚泥は安定的かつ多量に確保しやすく、既にある下水処理場を活用できるというメリットがある。

 現在は下水汚泥から発生するバイオガスを燃料に、ガスタービンを使って発電する方法が主流だ。既に全国の下水処理場でこうした取り組みがいくつも始まっている。

 一方、下水汚泥のもう1つの利用方法として注目されているのが水素製造へ活用だ。下水汚泥から発生するメタンガスから水素を取り出すというもので、水素社会への取り組みが進む中、CO2フリーかつ安定的に水素を製造できる方法として期待されている(図1)。

図1 下水汚泥を利用した水素製造方法のイメージ 出典:国土交通省

 国土交通省では2016年8月10日、こうした下水処理場における水素利用の普及促進を目指し、下水処理場における水素製造事業の実現可能性調査を実施すると発表した。調査は宮城県、奈良県、静岡県三島市の3つの自治体が所有する下水処理場で行う計画だ。

 調査では下水処理場における水素製造事業の採算性・環境性などを評価していく。その成果については、2016年度中の設置を予定している「水素社会における下水道資源利活用検討委員会」における議論も踏まえ、技術面・手続き面などの情報と合わせて同年度中にガイドラインとしてまとめる計画だ。

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