IoTを重要項目に、日本の新しい省エネ技術戦略が決定法制度・規制(1/2 ページ)

NEDOは日本の省エネ関連技術の開発ロードマップを示す「省エネルギー技術戦略2016」を発表した。高効率な火力発電設備や再生可能エネルギー電源の協調制御など、エネルギーの上流分野の技術革新に向けた項目を新設。さらにエネルギーマネジメント技術などについて、昨今のIoTの進展や第三者による省エネビジネスの発展を視野に、位置付けの見直しを行っている。

» 2016年09月21日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年9月16日、新たに改定した「省エネルギー技術戦略2016」を発表した。2030年を見据え、今後、重点的に開発を進める省エネルギー技術の領域や普及シナリオの見直しを図っている。

 省エネルギー技術戦略は2007年に発表されて以降、逐次改訂が行われている。今回の2016年版の策定に影響している近年のトピックは2つある。1つが日本の将来の電源構成目標を決める「長期エネルギー需給見通し」の中で示された最終エネルギー消費量の削減目標だ。2030年に日本の最終エネルギー消費量を、石油換算で2013年度実績比5030万kL(キロリットル)程度省エネにする方針が示されている。

 もう1つが2015年12月に開催された「COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)」で、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」が正式に採択された点だ。この中で日本は温室効果ガスの排出量を2030年までに、2013年比で26%削減するという目標値を掲げた。こちらの目標を達成するためにも、2030年に向けてあらゆる産業のエネルギー効率を大きく改善していく必要がある。

 こうした背景から、今回の省エネルギー技術戦略2016も、2030年までを見据えた戦略となっている。産業ごとに省エネの推進に貢献する重要分野をあらためて見直し、「エネルギー転換・供給」「産業」「家庭・業務」「運輸」「部門横断」の5部門において、合計14技術を注力すべき重要技術と位置付けた(図1)。

図1 「省エネルギー技術戦略2016」で定めた重要技術 出典:NEDO

 今回の見直しで大きく変わったポイントは2つある。1つが重要技術として新たに「エネルギー転換・供給」の部門を設置した点だ。これまでは最終エネルギー消費の区分である産業部門、家庭・業務部門、運輸部門と、それらの部門を横断する技術の4項目で構成していた。しかし今回はエネルギー転換・供給段階における省エネをさらに推進するため、新たに「エネルギー転換・供給」部門を設置。その中で「高効率火力発電・次世代送配電技術」と「コージェネ・熱利用システム」を重要技術としてピックアップしている。

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