英米の政府機関と米Bloombergは、発展途上国58カ国を対象とした再生可能エネルギーに関するレポート「Climatescope 2016」を公開した。発展途上国は導入規模、投資のいずれにおいても先進国を超え、地域ごとに独自の成長を見せている。日本からの投資は中東や北アフリカに集中しており、企業では九州電力が目立つ。
発展途上国(途上国)が再生可能エネルギーに集中している。2015年の発電容量の容量増加幅は、OECD諸国(先進国)を上回った。再生可能エネルギーは先進国向けの「高価なおもちゃ」ではないということだ。
英米の政府機関と米Bloombergは、毎年1回、途上国の再生エネルギーの状況をまとめた「Climatescope」を公開している*1)。2016年12月14日に公開されたClimatescope 2016は、1年間に増加した再生可能エネルギーを用いた発電容量について、途上国が先進国を18%上回ったと報告した。途上国58カ国を対象とした調査結果だ(図1)。
*1) 米国際開発庁(USAID)と英国際開発省(DFID)が支援し、米Bloomberg New Energy Financeが公開した。86ページのPDF形式の他、Excel形式でも報告書をダウンロードできる。
開発途上国の力強さは、風力と太陽光の新規導入量だけに現れているのではない。今後はクリーンなエネルギーの比率を高めるという前例のない約束をしている。これが、Climatescope最新版の結論だ。
Climatescope 2016は世界各国の2015年の活動を反映した報告だ。2015年12月には国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催されている。途上国58カ国のうち、4分の3が将来のCO2排出量を削減する約束を提出(再表明を含む)した。
58カ国が2015年に追加した再生可能エネルギーによる発電容量は69.8ギガワット(GW)に達した(図2)。風力や太陽光、地熱などを含む。これは現在のオーストラリアの総設備容量と同じだ。中国は58カ国における活動の大半を占めたものの、より小規模な国家も重要な役割を果たした。なお、経済協力開発機構(OECD)加盟国は、2015年、59.2GW分の発電容量を建設したにとどまる。
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