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» 2017年01月11日 13時00分 UPDATE

電力供給サービス:東京の住民に群馬で作ったバイオマスの電力を、40世帯を対象に5月から供給

東京都の世田谷区は群馬県の川場村と連携して、バイオマス発電所の電力を区民に販売する。川場村で4月に運転を開始する予定のバイオマス発電所が対象で、約40世帯の購入者を世田谷区内で募集中だ。小売電気事業者のみんな電力が販売会社になって、従量料金の単価が一律のプランで提供する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 電力の販売で連携する世田谷区(せたがやく)と川場村(かわばむら)は約150キロメートルも離れた場所にあるが、1981年から協定を結んで地域間の交流を深めてきた。その一環で川場村に建設中のバイオマス発電所の電力を世田谷区民に販売する新たな事業を開始する(図1)。

図1 川場村産の電力を世田谷区民に販売する仕組み。出典:世田谷区環境総合対策室

 川場村は面積の88%を森林が占めていて、農業と林業が盛んな土地柄だ。地域で発生する間伐材や製材端材を有効に活用するため、川場村や地元の森林組合などが出資して木質バイオマス発電所の建設を進めている(図2)。発電能力は45kW(キロワット)と小規模だが、年間を通じて稼働することで安定した電力を供給できる。

図2 木質バイオマス発電所と関連施設の所在地。出典:世田谷区環境総合対策室

 発電所を運営する「ウッドビレジ川場」は2017年4月上旬に発電所の運転を開始する予定で、すでに燃料の木質チップの製造に着手している。この木質バイオマス発電所の電力を5月上旬から世田谷区の住民に供給する。世田谷区では40世帯程度に販売することを想定して、1月16日まで希望者を募集中だ。

 電力の販売・供給にあたって、世田谷区を拠点に電力の小売事業を展開する「みんな電力」を事業者に選定した。みんな電力は利用者が応援したい発電所を選べる「顔の見える発電所」と呼ぶサービスを提供している。このサービスは電力の供給に加えて、発電所から利用者へお礼を届ける点が特徴だ(図3)。たとえば発電所の見学ツアーに参加できる特典などを用意する。

図3 みんな電力の「顔の見える発電所」の事業モデル。FIT:固定価格買取制度。出典:みんな電力

 みんな電力の電気料金プランは固定の基本料金と単価が一律の従量料金で決まる。基本料金は月額500円の利用料のほかに、アンペア(A)数に応じた託送料金を加算する。標準的な30Aの場合には東京電力の標準メニューと比べて少し割高だが、40A以上だと東京電力よりも割安になる(図4)。

図4 みんな電力の電気料金プラン。東電PG:東京電力パワーグリッド。出典:みんな電力

 一方の従量料金の単価は月間の使用量に関係なく24.54円で、多く使うほど割安になる仕組みだ。標準的な使用量の300kWh(キロワット時)で比較すると、東京電力の7022円に対して7362円で高い。月間の使用量が362kWhを超えれば東京電力の従量料金よりも安くなる。標準的な家庭よりも電力を多く使う一戸建ての家庭であれば、川場村産の再生可能エネルギーの電力を使って電気代を抑えることも可能になる。

 世田谷区は地球温暖化対策で再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいる。みずから太陽光発電所を運営するほか、公共施設の屋根貸しによる太陽光発電事業も推進中だ。さらに交流がある自治体などから再生可能エネルギーの電力を調達して区民に販売する事業にも乗り出した(図5)。川場村と連携して開始する電力の販売が第1弾になる。

図5 世田谷区の自然エネルギーを活用した自治体間連携イメージ。出典:世田谷区環境総合対策室

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