愛媛県の再生可能エネルギーは太陽光発電を中心に、風力発電とバイオマス発電の導入量が拡大中だ。特に風力発電は固定価格買取制度の認定量・導入量ともに全国で第6位の規模になっている(図5)。県西部の海に近い地域が風況に恵まれていて、大規模な開発プロジェクトが進んでいる。
九州に対面する宇和島市の高原では、四国で最大の「南愛媛風力発電所」が2016年3月に運転を開始した(図6)。12基の大型風車を配置して、発電能力は28.5MWにのぼる。J-Power(電源開発)が2012年9月から3年半を費やして建設した。
年間の発電量は6500万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると1万8000世帯分に相当して、宇和島市の総世帯数(3万3000世帯)の5割以上をカバーできる。原子力発電所が立地する愛媛県の西部にあって重要な役割を担う。
宇和島市では農地に太陽光発電設備を導入する計画も進んでいる。農作物を栽培しないまま荒廃する田んぼや畑が増えてきたことから、農業の活性化と再生可能エネルギーの拡大に向けて市が促進するプロジェクトだ(図7)。現在のところ市内の2カ所にある農地を対象に太陽光発電設備を導入する計画で、合わせて1MWの発電能力を想定している。
太陽光発電は日射量が多い瀬戸内海の沿岸部でも活発だ。新たに運転を開始した中では「ソフトバンク今治ソーラーパーク」の規模が大きい(図8)。地元の不動産会社が所有する3万4000平方メートルの土地に建設して、2016年3月に運転を開始した。発電能力は2.7MWで、年間の発電量は320万kWhを見込む。一般家庭の900世帯分に相当する。
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