12の予測は光と影、2035年のエネルギー(1)自然エネルギー(2/4 ページ)

» 2017年02月03日 09時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

エネルギー需要増は30%にとどまる

  • 【予測2】これによってエネルギー需要は増えるものの、エネルギー利用効率の改善によって、需要の伸びは30%に収まる。年増加率に換算すると1.3%である(過去20年間の平均は2.2%)

 GDPが伸びるにもかかわらず、エネルギー需要がそれほど伸びない。なぜか。ある量のモノやカネを生みだすために必要なエネルギーの量が減るからだ。これをエネルギー原単位(energy intensity)が減少するという。

 OECD諸国のエネルギー消費はピークに達してわずかに下がっていく(図4)。中国も2025年には頭打ちになる。

図4 GDPと一次エネルギーの伸び率・地域の割合 エネルギー原単位の減少率は次第に高くなっていく(左)。OECDのエネルギー消費は増えず、中国も次第に増えなくなっていく(右) 出典:BP Energy Outlook 2017 edition
  • 【予測3】化石燃料以外へのシフト(エネルギーミックス)が進むものの、依然として石油・ガス・石炭が主要な一次エネルギーとして残る。2035年までの新規エネルギー需要の半分を再生可能エネルギーがまかなう。大規模水力と原子力が再生可能エネルギーを補う

 化石燃料が一次エネルギー供給に占める比率は2015年時点で85%。これが2035年には約4分の3にまで下がる。天然ガスの年成長率は1.6%と高いが、石油は0.7%、石炭は0.2%にとどまる。石炭は過去20年間、年成長率2.7%で推移してきた。石炭の時代は天然ガスの時代に取って代わられる。

 再生可能エネルギーの年成長率は7.1%と高く、一次エネルギーに占める割合は2035年に10%に達する(2015年には3%)。以上の状況は冒頭の図1で示した通りだ。

ガスが伸び続ける

  • 【予測4】化石燃料の中ではガスの成長が著しい。主な要因は米国のシェールガスだ。液化天然ガス(LNG)の比率が高まり、世界のガス市場は統合に向かう。米国のガス価格が世界の価格水準を決定する

 図5にあるように、2035年までの天然ガスの成長を引っ張るのは米国を中心としたシェールガスだ。従来のガスも3つの地域で増えるものの、シェールガスの伸びが著しい。

図5 世界のガス需給は急拡大する 米国を中心としたシェールガスが供給の伸びを支える(左)。天然ガスの用途は発電(Power)と産業(industry)だ(右) 出典:BP Energy Outlook 2017 edition

 LNG市場の構造は急速に変化していく。供給面ではゼロから始まった米国市場が2035年には日産190億立方フィート(19Bcf/d)に成長(図6)。最大の供給源となる。これに次ぐのがオーストラリアの130億立方フィートだ。

 需要面ではアジアが市場を圧倒する。中国と中東だ。アジア以外では米国である。

図6 LNGの需要と供給 米国が最大の供給国に成長(左)、主な需要はアジア(右) 出典:BP Energy Outlook 2017 edition

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