福島県で最大のメガソーラー建設計画、3万世帯分の電力を2020年に自然エネルギー(1/2 ページ)

復興に向けて再生可能エネルギーの導入が加速する福島県で最大のメガソーラーの開発プロジェクトが始まった。北部の山地に広がる南向きの斜面を利用して、発電能力が83MWに達するメガソーラーを建設する。並行して東京電力を中心に2020年に向けて送電線の増強計画が動き出した。

» 2017年03月17日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 相馬市の位置。出典:相馬市

 福島県の太平洋側には、南北を縦断して阿武隈(あぶくま)山地が連なっている。その最北部に位置する相馬市(図1)の山林を対象に、「相馬伊達太陽光発電所整備事業」の環境影響評価のプロセスが3月15日に始まった。2016年9月に創業した合同会社の相馬伊達太陽光発電所が推進する事業で、完成すれば福島県内で最大のメガソーラーになる。

 建設予定地は山林を中心に230万平方メートルに及ぶ(図2)。この一帯には南向きの斜面が広がり、太陽光発電に適している。土地を所有する地権者が太陽光発電事業を提案して、賛同する他の地権者とともに用地の提供を申し出た。用地の7割に太陽光パネルを設置するほか、防災用の調整池を16カ所に造成する予定だ。

図2 メガソーラーの建設予定地(白枠部分、画像をクリックすると拡大)。出典:相馬伊達太陽光発電所

 相馬伊達太陽光発電所が福島県に提出した環境影響評価の方法書によると、発電能力は83MW(メガワット)を想定している。現在のところ福島県内で運転中あるいは計画中のメガソーラーで最大の規模は50MWクラスである。完成すれば県内で最大のメガソーラーになる。

 福島県の太平洋側は日射量が多い。最新のメガソーラーの設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は平均16%を見込めることから、これをもとに年間の発電量を計算すると1億1600万kWh(キロワット時)に達する。一般家庭の3万2000世帯分に相当する電力になり、相馬市の総世帯数(1万4400世帯)の2倍以上に匹敵する。

図3 太陽光発電事業の運営体制。出典:相馬伊達太陽光発電所

 発電した電力は固定価格買取制度を通じて全量を東北電力に売電する(図3)。すでに2013年度に買取制度の設備認定を受けているため、買取価格は1kWhあたり36円(税抜き)を適用できる。年間の売電収入は40億円を超える見通しだ。

 ただし福島県内では100万平方メートル以上の用地を事業用に造成する場合には、建設に先立って環境影響評価の手続きを実施する必要がある。3段階で構成する手続きを完了するまでには通常で1年半くらいかかる。建設工事には2年間を見込んでいるため、メガソーラーが完成して運転を開始できるのは2020年の後半になる可能性が大きい。

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