九州電力は新しい地熱発電所の建設に向けて、大分県の九重町で5月から資源調査を開始する。九重町は日本最大の地熱発電の集積地だが、これまで開発対象になっていなかった地域で調査に乗り出す。地下の構造を推定する地表調査や温泉のモニタリング調査を実施して地熱発電の可能性を探る。
地熱資源の調査は九重町の「山下池南部地域」で実施する(図1)。周辺には九州電力の大規模な地熱発電所が3カ所で運転中だ。
最も近い「滝上(たきがみ)発電所」からは、5キロメートル以内の至近距離にある。一帯には地熱資源が豊富に存在している。
九州電力は地熱発電所を建設するプロセスの中で最初に必要な地表調査を5月に開始する(図2)。地表調査では各種の測定方法を組み合わせて、地下の構造や地熱の活動状況を推定することが目的だ。並行して周辺地域の温泉水を定期的に調べて地熱の季節変動などを把握する。
地熱発電所の運転を開始するまでには、大きく分けて4段階のプロセスが必要になる(図3)。地表調査に続いて、地下の構造を詳細に調べる掘削調査までが第1段階にあたる。九州電力は地表調査で地下の構造を確認できたら、2018年度から掘削調査に入る予定だ。その後に地熱の資源量を確認するための探査を実施して事業化を判断する。
地熱発電所を建設するにあたって、発電能力が7500kW(キロワット)以上になると環境アセスメントを実施しなくてはならない。実際に運転を開始できるまでに、地表調査の開始後11〜13年かかるのが一般的だ(図4)。
7500kW未満であれば10年以内に運転を開始できるが、九州電力が地表調査から取りかかるとなると、3万kW以上の大規模な地熱発電所になる可能性が大きい。その場合には開発が順調に進んでも運転開始は2028〜2030年くらいになる。
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