電気だけで空を飛ぶ、電動飛行機の開発が進んでいる。ドイツのスタートアップ企業は“垂直離着陸”が可能なユニークな電動飛行機の試験飛行に成功した。一方大手企業のシーメンスは、開発中の電動飛行機で飛行速度の世界記録を達成した。
電気自動車だけでなく、電気で動く「電動飛行機」の実用化に向けた研究開発が世界で続々と進んでいる。ドイツのスタートアップ企業であるLiliumは2017年4月、開発中の電動飛行機「Lilium Jet」のプロトタイプ機が試験飛行に成功したと発表した。
Lilium Jetは電動モーターで駆動するジェットエンジンを搭載した完全電動の飛行機。ヘリコプターのように垂直離着陸が行えるのを大きな特徴としている。今回の試験飛行を行ったプロトタイプ機は今回の2人乗りのモデルで、ドイツの飛行場において遠隔操作で飛行した。垂直着陸が行える電動飛行機の飛行は、世界初だという。
将来は5人乗りのLilium Jetを開発する方針で、離着陸に滑走路を必要としないメリットを生かし、タクシーのようなサービスの提供を計画している。5人乗りのモデルは36基の電動ジェットエンジンを搭載し、完成すれば時速300kmで飛行することが可能で、騒音も少ないという。具体的な容量は明らかにしていないが、数千個のリチウムイオン電池セルを搭載する予定で、航続距離は300kmになるとしている。
Liliumは2019年までに5人乗りモデルの期待を完成させ、有人飛行を行う予定だ。その後2025年にLilium Jetを利用した、タクシーのような空の送迎サービスを実用化する目標を掲げる。
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