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» 2017年09月11日 09時00分 公開

自然エネルギー:再エネでCO2フリー水素製造、大林組が蓄電池併用型システムを構築

大林組は再生可能エネルギーを利用するCO2フリー水素製造システムを構築し、実証運用を行う。将来の再生可能エネルギーを利用した水素エネルギー供給事業への参画を見据え、ノウハウの蓄積を目指す。

[長町基,スマートジャパン]

 大林組は同社の技術研究所(東京都清瀬市)で、再生可能エネルギーを利用したCO2フリー水素製造システムを構築する。水素の製造から貯蔵、利用までの各プロセスで実証を行う計画だ。得られた知見は、取り組んでいる再生可能エネルギー発電事業と組み合わせた水素エネルギー供給事業への参画を見据えて活用していく。

 北海道、東北、九州地方など、再生可能エネルギーの賦存(ふぞん)量が高いものの、送電網がぜい弱な地域では、系統電力の安定化対策や余剰電力の有効利用が課題となっている。こうした課題の解決手法の1つとして、余剰電力などを水素に変換し、貯蔵や運搬を容易にする技術の活用が期待されている。

 加えて、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」終了後の発電設備の活用方法においても、水素の製造および利用は有力な選択肢の1つとなると考えられているという。2014年に経済産業省が発表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、将来の水素社会実現に向けた取り組みを加速し、CO2フリー水素について2040年頃に供給システムを確立するという目標が示された。

 大林組はこれらの流れを見据え、技術研究所に設置されている既存の再生可能エネルギー発電設備を活用し、新たにCO2フリー水素を製造する水素エネルギーシステムを構築する。ノウハウの獲得や実績の蓄積を目的とし、製造、貯蔵、利用の各段階を実証することで、システム全体の最適化を目指す。システムは、2018年4月中に完成の予定だ。

構築するシステムの概要図(クリックで拡大) 出典:大林組

 同システムは、技術研究所に設置している太陽光発電と風力発電の一部の電力を用いて、水電解装置で水を水素と酸素に分解してCO2フリー水素を製造する。製造したCO2フリー水素は気体の状態でタンクに貯蔵し、電力需要に応じて純水素型燃料電池で酸素と反応させて発電。その電力は技術研究所内に供給する。

 再生可能エネルギーは天候などによって発電量が左右され、供給が不安定になる場合がみられる。水電解装置などの設備容量を再生可能エネルギー発電量のピーク時に合わせて計画した場合、夜間や雨天時などには発電量の低下に伴い各設備の稼働率も低下してしまう。そこで、各設備の高い稼働率を実現し効率良く水素を製造するために、蓄電システムを併用して水電解装置へ電力を安定的に供給するシステムを構築する。実証では、水電解装置と蓄電池容量の最適な組み合わせや、各設備の制御手法などを検証していく。

 同システムは、再生可能エネルギー由来の電力を、商用電力系統から切り離して水電解装置に供給するため、商用電力の停電時でも自立運転が可能だ。これを生かし、実証では災害時のBCP対応についても検証する

 なお、東京都が今回の実証は、環境負荷の低減をめざし実施している「事業所向け再生可能エネルギー由来水素活用設備導入促進事業」の助成を受けている。

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