AIでデジタル発電所を構築、火力発電の運用を高度化エネルギー管理

関西電力と三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、AI技術活用した火力発電所の運用高度化サービスの開発に着手する。AI技術でバーチャルなデジタル発電所を構築し、事前に運転条件の変更による影響などを検証できるようにする。

» 2017年09月19日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 関西電力と三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、このほどAI(人工知能)を活用した国内外の火力発電所向け運用高度化サービスの共同開発について、基本合意書を締結したと発表した。

 開発するサービスは、関西電力が持つ火力発電に関する発電所の運転および維持管理業務のノウハウや、大量の運転データと、MHPSが持つ設計、製造、建設のノウハウを融合。さらに、最先端のAI技術を活用することで、次世代の火力運用サービスの開発・展開を目指す。

 具体的には、サービス対象となる実際の発電所の運転データとディープラーニング(深層学習)などのAI技術を用いて、PC上にデジタル・ツイン(実際の存在する機器をそのままデジタル上に再現する、仮想発電所)を構築する。その上で、燃料などの運転条件を変更した際の影響をデジタル・ツイン上で検証し、その検証結果を実際の発電所に適用することで、ボイラー燃焼調整などの最適運用につなげる。

開発するサービスのイメージ。AI技術でバーチャルな発電所を構築する(クリックで拡大) 出典:関西電力

 2017年度中にボイラ燃焼調整の最適化などのシステムを構築し、2018年度中には、関西電力が保有する「舞鶴発電所」を対象として実証試験を実施する。実証試験後には、同システムを国内外の発電事業者向けにサービスとして提供していくことで、発電事業者が保有する火力発電所の運用高度化に貢献する方針だ。

 両社は引き続き、それぞれの知見を生かし、最新のIoTや、ディープラーニングなどのAI技術を駆使した火力発電所の運用高度化サービスの開発を通じて事業拡大を図るとともに、社会インフラの高度化に取り組む。

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