神戸市に水素を利用して電力と熱を供給するコージェネレーションシステムの実証プラントが完成。市街地への導入は世界初という。CO2を排出しない水素から生み出した電力と熱を周辺施設に供給し、環境性と経済性の両立を図る。
神戸市に水素を利用して熱と電力を供給するコージェネレーションシステムの実証プラントが完成した。川崎重工と大林組がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業の一環として建設したもので、市街地において水素を利用するコージェネレーションシステムを導入するのは、世界初という。2018年1月下旬から実証試験を開始する計画だ。
コージェネレーションシステムを導入したのは、神戸港内に作られた人工島である「ポートアイランド」。川崎重工が開発した、水素を利用して発電が行える1MW(メガワット)級のガスタービン発電設備で発電を行う。このガスタービンは燃料に水素だけでなく、水素と天然ガスを任意の割合で混ぜ合わせた燃料も利用できるのが特徴となっている。低コストな天然ガスを混焼できるようにすることで、安定稼働とともにコストを削減できるメリットもある。
実証では、発電した電力と発生する熱(蒸気)を近隣の施設に供給する。供給先は「ポートアイランドスポーツセンター」「神戸国際展示場」「下水処理場」「中央市民病院」の4カ所だ。発電設備の運用と、電力および熱の供給については、大林組と大阪大学が共同開発を進めているエネルギーマネジメントシステム(EMS)で管理を行う。発電設備への燃料となる水素や天然ガスの供給、周辺施設への電力および熱の供給を制御し、経済性と環境性の両立を目指す。
今後、各設備や機器の試運転を進め、2018年1月下旬から実証運転に取り組み、同年2月上旬から近隣施設へ熱と電気の試験供給を開始する計画だ。
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