太陽光と水素で動くコンビニ、トヨタとセブンが共同開発自然エネルギー

トヨタとセブン-イレブンが、再生可能エネルギーや水素を活用する次世代コンビニ店舗の開発プロジェクトを発表。2019年秋に太陽光発電システムや燃料電池発電機、蓄電池を備える新型店舗を開設する。

» 2018年06月07日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 太陽光発電や水素を活用した新しいコンビニ店舗の実現を目指す、トヨタ自動車(以下、トヨタ)とセブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)の共同プロジェクトの詳細が明らかになった。2019年から燃料電池トラック(FCトラック)の導入や、トヨタの持つ燃料電池関連の技術・製品を活用した新型店舗の開発などを順次進めていく計画だ。

6月6日に開かれた共同記者会見の様子

 セブン&アイグループでは2015年に国連で採決されたSDGs(持続的な開発目標)の達成に向け、事業における再生可能エネルギーの活用に注力している。具体的な数値目標として2030年までに店舗での再生可能エネルギーの利用比率を20%に、CO2排出量を2013年度比で約27%削減する計画だ。

 コンビニ事業を展開するセブン‐イレブンはこの目標達成に向けて、店舗における省エネや再生可能エネルギーの活用に向けた技術実証、CO2排出量の少ない配送車両の導入などに取り組んできた。2018年5月には、使用する電力量の46%を再生可能エネルギーで賄うという次世代店舗を神奈川県相模原市に開店した。この店舗では、仏大手建設Bouyguesグループの道路工事会社であるColas社の路面型太陽光パネルを導入した他、ソーラーカーポート、蓄電池などを導入している。

 セブン-イレブンでは、今後こうした環境技術を全国の店舗に広げていく方針だ。今回実施するトヨタとの次世代店舗の共同開発は、こうした取り組みの一環となる。トヨタの持つ水素関連などの技術を活用し、これまで以上に環境性能の高い店舗の実現を目指す。燃料電池車や水素ステーションなどの普及を目指すトヨタとしては、こうした取り組みによって水素需要拡大を進めたい考え。

店舗に燃料電池発電機を導入

 両社が共同開発する次世代店舗は太陽光発電システムの他、トヨタが燃料電池発電機(FC発電機)、ハイブリッド車の使用済みバッテリーを再利用した蓄電システム、給電機能付き充電器などを設置。店舗のエネルギー需要に合わせてこれらの機器を統合制御するBEMSも導入する。

次世代店舗に導入する技術・製品の概要 出典:トヨタ自動車

 燃料電池発電機は定置式で、出力は10kW(キロワット)。燃料電池車「MIRAI」に採用されているセルを利用している。給電機能付き充電器は、電気自動車やハイブリッド車に充電が行える他、非常時には車両から店舗に電力供給も行える仕組み。これらのシステムは、将来の販売も視野に入れているという。

 次世代店舗の開設エリアは現時点では検討中だが、2019年秋のオープンを予定している。店舗で利用する水素は、水素ステーションから運搬したもの利用するが、将来は再生可能エネルギーで製造した水素の活用も検討していく。さらにトヨタでは再生可能エネルギーの利用拡大と併せて、同社の販売会社向けの新電力を活用した事業スキームの構築も検討中だ。

 こうした次世代店舗の開設に先駆けて、セブン-イレブンは2019年春をめどに首都圏の配送にトヨタの燃料電池トラックを2台導入する計画。今回の共同プロジェクトを通じ、燃料電池トラックや燃料電池発電機などの活用に関する知見やノウハウの獲得を目指す方針だ。

2019年春に導入するトヨタの燃料電池トラック

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