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» 2018年07月06日 07時00分 公開

自然エネルギー:青森の「ながいも」でバイオガス発電、排熱は冬場の農業に活用

青森県東北町で名産品であるながいもの残さを活用したバイオガス発電事業が始動。発電時に発生する排熱はビニルハウスに供給し、冬場でも農業を可能にする。

[長町基,スマートジャパン]

 日立キャピタルの子会社である日立グリーンエナジーは、青森県東北町で自然エネルギーベンチャーのイーパワー(東京都港区)を中心に、ゆうき青森農業協同組合(JAゆうき青森)の農作物残さ(非食用部)などを活用したバイオガス発電事業を行う合同会社(農業連携BG投資組合1号)に対し、2018年6月29日に出資したと発表した。

ながいも 写真:アフロ

 東北町は日本有数のながいも産地で、JAゆうき青森の出荷量は全国でトップクラスを誇るという。JAゆうき青森のながいも選果場では大量の残さが発生し、多額の廃棄物処理費用を負担していた。そのため、2005年からながいも残さの有効利用に取り組み、2016年には小桝屋(名古屋市)と共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のFS(事業性評価)事業を実施するなど、メタン発酵による自家処理を検討してきた。

 同事業では、このFS事業の成果を引き継ぐ。施設内に原水槽、メタン発酵槽、浄化槽、ガスバック室、発電機などの設備一式を装備し、日量4トン強のながいも残さなどをメタン発酵槽に投入してバイオガスを発生させ、年間約16万kWh(キロワット時)の電力を、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度」を使って東北電力に売電する。発電量は小さいものの、バイオガス発電は太陽光や風力と異なり、24時間の発電が可能なベースロード電源であり、また、廃棄物の有効利用に加えて、廃棄物処理コストを削減できる効果が見込める。さらに、JAゆうき青森では、発電機から回収する排熱を隣地に新設するビニルハウスで有効活用して、課題である冬場の農業を可能とする仕組みづくりに挑戦する予定だ。

 同事業では、豊橋技術科学大学とイクナム研設(愛知県豊橋市)などを中心とする産学コンソーシアムが開発した、豊橋式バイオガス発電システムを採用する。豊橋式バイオガス発電システムはバイオマス発生量に合わせた規模のメタン発酵槽を発生地に設置することが特徴。50kW未満の低圧での系統連系が可能なことから、全国の電力会社への売電が可能となる。これまでに3件のプラントが中部地方の養豚農家で稼働しており、今回は新たに寒冷地用に設計したプラントが採用された。

 日立グリーンエナジーは、今後、同コンソーシアムと連携し、全国の農業協同組合や食品工場、大型商業施設、自治体などに対して、同様の有機資源を最大限に活用したバイオガスエネルギー事業の展開を目指す。

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