「効果なし」を回避する、太陽光発電所の雑草対策の手順と工法基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(5)(1/4 ページ)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の一つとなっている雑草対策について解説する本連載。今回は防草シートの選び方や最適な施工法、草刈りにおける注意点など、具体的な雑草対策工法のポイントについて解説する。

» 2018年08月27日 07時00分 公開

 前回の第4回では、太陽光発電所の雑草対策を成功させるための考え方として太陽光発電所版IPM」を紹介しました。われわれの手掛ける雑草対策では、この太陽光発電所版のIPMに基づき、「調査」「判断」「予防」を行い、検証・検討を経てから、具体的な対策フェーズである「防除」を実施することになります。

 「防除」には、多様な施工・作業がありますが、大きく以下の3つに分類できます。

  1. 物理的防除……防草シート、草刈など
  2. 科学的防除……農薬など
  3. 生物的防除……緑化工法、天敵、ヤギなど

 今回はこの3種類のうち、稼働運転中の太陽光発電所での不具合や失敗例が見受けられている「物理的防除」と「化学的防除」について、最適な防除方法のポイントをご説明します。

物理的防除〜防草シート施工編〜

 太陽光発電所の雑草対策としてよく導入される防草シートは、適切な材料選定と施工を行えば、10年以上雑草の発生を抑制することが可能です。一方で、「導入したのに、雑草が繁茂してしまった」という問い合わせを多くいただく工法でもあります。

 防草シートによる雑草対策を成功させる際に、知っておきたいポイントが「雑草が生える条件」です。雑草が生育するためには、「適正な温度」「水」「光」の3つの条件が全てそろう必要があります。つまり、どれか1つでも欠けると雑草は生えてきません。

 防草シートは、雑草が生える条件のうち、「光」を遮断することが目的です。そのため、防草シートを施工したのに雑草が生えてくるという場合は、「光の遮断が不完全な状態になったため」、といえます。この原因は、第3回の記事でも解説しましたが、施工不良と材料選定のミスによるものが大半です。

雑草生育の3条件。防草シートはこのうちの「光」を遮断することが目的
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