既存の導水管で発電する「マイクロ水車」、樹脂製でコストも抑える自然エネルギー

日本企業でいち早く「RE100」に加盟するなど、環境経営を推進するリコーは、マイクロ水力発電システムも開発中だ。農業用水路や工場やビルの導水管に取り付けて発電できるシステムで、自家消費向けとして商品化する方針だ。

» 2018年12月07日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 ビルや工場の導水管や、農業用水路を電源に―。リコージャパンは「エコプロ2018」(2018年12月6〜8日、東京ビッグサイト)で、開発中の「マイクロ水力発電システム」を披露した。既存の導水管に接続する自家消費向けの水力発電システムだ。

展示したマイクロ水力発電システム

 開発しているマイクロ水力発電システムの特徴の1つは、プロペラ(水車)と発電機を一体化している点だ。プロペラの外部に磁石が取り付けられており、その外側をコイルが覆う構造となっている。これによりプロペラが回転することで、発電を行えるという仕組みだ。

 さらに、プロペラ部分を含む発電機の大部分を、樹脂製のパーツにしていることも特徴だ。金属製の発電機より軽量化できるとともに、コストを削減できる。

 この他、農業用水路などでの利用を想定し、プロペラを中空構造としている。これによって、落ち葉などの詰まりを防ぐことができる。ただ、ビルや工場内の導水管など、水流に固形物が含まれないような場所に導入する場合を想定し、発電効率を重視した中空率ゼロのタイプのプロペラも開発する方針だという。

 リコージャパンでは、既にこのマイクロ小水力発電機を利用し、実際の農業用水路や一般河川、工事現場などでの実証実験に取り組んでいる。今後も実証拠点を増やしていく計画で、2019年度中にこうした実証実験とともに実用化に向けた商品開発を進め、2020年度中に量産化に向けた準備に入る予定としている。

 商品化時の発電出力は1kW(キロワット)前後を想定している。現時点で価格などは決まっていないが、農業用水路やビル・工場内の導水管などに自家消費用として導入しても、採算性が取れる水準を目指したいとしている。

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