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» 2018年12月20日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(7):持続的な営農への懸念も、大規模化するソーラーシェアリングの課題 (1/2)

農業の新しい収益源として注目が集まっている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」について解説する本連載。今回は、近年顕著に増えてきた大型のソーラーシェアリングについて、大規模化が進む理由やその課題について解説する。

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]

なぜ大型のソーラーシェアリングが増えているのか

 2018年時点で、国内の導入実績が1500〜2000件程度と見られるソーラーシェアリングですが、導入が始まった頃は低圧規模を中心に広まってきたものの、近年は高圧以上の大規模な設備が増え始めています。太陽光発電は設置面積に比例して出力が増大し、一般的に規模が大きくなるほど経済性も向上していきますから、ソーラーシェアリングも発電事業面では大規模化が指向されるのは当然でしょう。

 ただ、ソーラーシェアリングは農業のための太陽光発電ですから、営農のことを考えると大規模化を簡単には進められません。今回は、ここ2年ほどで顕著に増えてきた大型のソーラーシェアリングについて、大規模化が進む理由やその課題について取り上げます。

 メガソーラー規模のソーラーシェアリングがどの程度存在しているのか、そもそも情報を公にしている事例が少ないのが現状で、実態は把握できていません。そこでここ2年ほど、ニュースリリースなどで情報が公開されている高圧以上の案件をピックアップしてみました。

高圧以上のソーラーシェアリング案件(クリックで記事へ)

 これらの事例の特徴として、大型のソーラーシェアリングであるほど、太陽光パネルの下で育成する作物に、農地で大規模に生産される作物としてはなじみのないものが多く選定されていることがわかります。これは、プロジェクトが当初からソーラーシェアリングを目的として組成されたわけではなく、計画地が農用地区域内農地であったり第1種農地だったりしたことで、農地転用による地上設置型の太陽光発電ができなかったため、ソーラーシェアリングによる一時転用許可に切り替えたものが多いからではないかと推測されます。

 大規模なソーラーシェアリングで選好される作物では、土地面積に対して太陽光パネルを最大限設置する設計となるため、高遮光率でも生育しやすいものが選ばれることから、どうも聞き慣れない作物が栽培されることになっている可能性があります。そして、リリースに際しても営農者に関する情報があまり開示されておらず、逆にそこを前面に出しているものは、営農者の積極的な関与があるプロジェクトだと推測できます。発電事業を優先して進められた事業の場合、当初はソーラーシェアリングとして営農部分の体裁を整えられても、長期にわたって大規模な地域農業を果たして維持していけるのか、という点に課題を抱えることになるでしょう。こうした、当初からソーラーシェアリングとして計画されたわけではないものが、近年の大規模ソーラーシェアリングの特徴です。

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