米Appleの独自AI「Apple Intelligence」、英語のβ版を10月に提供 日本語対応は2025年以降に【詳細追記】

[松浦立樹，ITmedia]

　米Appleは9月9日（現地時間）、独自AI「Apple Intelligence」のβ版を10月に提供すると発表した。まずは米国英語のみに対応し、順次提供する。その後12月には、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、南アフリカ、英国向けに英語をローカライズしたものを追加する。日本語や中国語、フランス語、スペイン語への対応は2025年以降としている。

独自AI「Apple Intelligence」

英語対応のβ版を10月に提供

12月には、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、南アフリカ、英国向けにローカライズ

日本語などへの対応は2025年以降に

　Apple Intelligenceは、iOS 18やiPadOS 18、macOS Sequoiaに組み込まれる機能で、Appleは「パーソナルインテリジェンスシステム」と説明している。同AIは、ユーザーの指示を理解し、言語や画像の生成などが可能。複数のアプリに渡ってさまざまなアクションを実行できるため、日々のタスクの効率化に貢献するという。

　例えばメールやメモアプリの利用時には、文章の書き直しや校正、要約などを行える他、電話アプリなどで音声の録音が始まると、Apple Intelligenceがその書き起こしや要約を作成する。写真アプリでは、ユーザーが入力した説明文に従ってAIが動画を自動生成する他、自然言語で特定の写真を探すこともできる。

ほとんどの文章を書く場面で書き直しや校正、要約などが可能

　他にも、複数のアプリからの通知を要約して重要な通知のみを表示することや、届いたメールの内容を理解して緊急のメッセージを上部に表示することも可能。ユーザーのさまざまな行動を支援する。

　Apple Intelligenceの実装に合わせて、音声アシスタント「Siri」も再設計。言語理解能力が向上して、より自然で文脈に即した対応が可能に。ユーザーが発言につまづいても話についていき、リクエストに応えられるようになった。Siri作動時のディスプレイ表示も「画面の縁を囲うようにエレガントに光り輝くデザイン」に変わった。

　また、年内にはカメラコントロールに新機能「ビジュアルインテリジェンス」も追加する。これは、カメラで撮影した対象物や場所を検索できる機能で、例えばレストランを写せば営業時間を、犬を写すと犬種などを調べられる。他にも、フライヤーに載っているイベントを撮影するだけでカレンダーに登録できるなど、ユーザーが指定した特定のアプリをスムーズに起動するよう設定もできる。

「ビジュアルインテリジェンス」の利用イメージ（1/2、Appleが公開した動画から引用）

「ビジュアルインテリジェンス」の利用イメージ（2/2）

　Apple Intelligenceでは今後、さらなる機能を追加する予定。画像生成機能「Image Playground」や、ラフスケッチを加筆して作り変える機能「画像マジックワンド」、人物が写った写真からオリジナルの絵文字「ジェン文字」を生成する機能なども実装するとしている。

画像生成機能「Image Playground」

ラフスケッチを加筆して作り変える機能「画像マジックワンド」

　なお、Apple Intelligenceは無料のソフトウェアアップデートとして提供する予定。

AIへの入力情報はプライバシー保護を徹底

　Apple Intelligenceを動かすAIモデルは、ほとんどの処理をデバイス上のみで実行するという。デバイス上で実行できない複雑な処理については、Appleシリコンを搭載したサーバ「Private Cloud Compute」で実行し、演算機能を拡張する仕組みを取っている。

　Private Cloud Compute使用時のユーザーデータについてAppleは、そのデータを保存し、共有することはなく、ユーザーの指示に応えるためにのみ使うと説明。このルールが守られていることを確認するために、サーバ上で実行されるコードを調べることも可能という。

　またSiriなどを通じて、米OpenAIのチャットAI「ChatGPT」を利用する場合にも、プライバシー保護の仕組みを用意。ChatGPT利用時のユーザーのIPアドレスを匿名化する他、アカウント作成なしでも無料でChatGPTにアクセスできる。文章や画像をChatGPTに送る前には、ユーザーに許可を求める仕様だ。