ソフトバンクグループは2月3日、企業向けAI「Cristal intelligence」(クリスタル・インテリジェンス)を発表した。米OpenAIと連携して展開するという。併せて、OpenAIと合弁会社・SB OpenAI Japanを設立し、日本の主要企業に対してクリスタル・インテリジェンスを独占的に販売する。
クリスタル・インテリジェンスは、導入企業内のデータを基に、それぞれの企業に特化したAIを構築する。これにより、財務関連の資料や文書の作成など、さまざまな業務を自動化できるとしている。
ソフトバンクグループの孫正義代表取締役によると、クリスタル・インテリジェンスのカギになるのは「長期記憶」という。クリスタル・インテリジェンスは、企業内で長年使われてきた基幹システムや、前回までの会議の情報など“企業における長期記憶”を踏まえ、質問に回答する。ソフトバンクグループでは、この長期記憶に関する特許を取得済みとしている。
例えば、クリスタル・インテリジェンスが企業内のシステムのソースコードを読み込み、自律的にプログラムをアップデートできるという。孫氏は「人間のプログラマーがプログラムしていちいちバージョンアップする、そんな時代は終わった」と豪語する。
情報漏えいの懸念に対する姿勢も明言。企業Aに提供したクリスタル・インテリジェンスが企業情報を基に学習した内容について、企業Bのクリスタル・インテリジェンスに反映されるようなことはないとした。企業データは日本国内にあるサーバに保管する方向で検討を進めている。
クリスタル・インテリジェンスの提供は「まずは1業種1社ぐらいから絞って始める。ある程度ノウハウができたら別の会社に広げていく」(孫氏)という。
ソフトバンクグループでは、OpenAIに年間30億米ドル(約4500億円)を支払い、他社への提供に先駆けて同グループにクリスタル・インテリジェンスを導入する。法人向けサービス「ChatGPT Enterprise」なども同グループの従業員が使えるようにする。
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