「NotebookLM」というサービスをご存じだろうか。米Googleが提供する、生成AIを活用したメモアプリで、生成AIに関心を持つアーリーアダプターの中で話題のWebサービスだ。あのDeNA南場智子会長も、AI検索サービス「Perplexity AI」と組み合わせて、初めてミーティングする相手のリサーチに活用しているという。
特徴は、GoogleのAI「Gemini」を活用し、ユーザーが読み込ませた複数の情報ソースの中から望む情報を探したり、要約したり、音声化してもらえる点。本記事ではまだNotebookLMに触れていない方に向け、同サービスの概要や使い方を紹介する。
NotebookLMは「ノートブック」という画面上で、任意のテキストやテキストファイル、PDF、音声ファイル、Googleドキュメント、Googleスライド、Web記事やWebサイトのURL、YouTube動画など、ユーザーが読み込ませた情報を「ソース」として指定すると、AIがその情報を基にさまざまな質問などに回答してくれるようになるサービスだ。
例えば新しく買った電子機器の操作マニュアル(PDF)をソースに指定すれば、Geminiがそれを読み、ユーザーの質問に回答してくれるようになる。「○○って操作はどのボタンで行うんだっけ?」といった質問に加え、便利なショートカットをピックアップするよう頼むことも可能だ。
さらに、ソースの概要を音声化する機能も搭載。チャットと違って日本語には対応していないが、英語のポッドキャストのように再生できる。ソースの内容から自動でQ&Aを作成する「FAQ」や、ソースを教科書に見立ててテスト問題やクイズを作る「Study Guide」ボタンも備える。
ノートブック1件につき、ソースは50件まで指定可能。ノートブックは1ユーザー当たり100件まで作成でき、他ユーザーと共有も可能だ。
NotebookLM自体はGoogleアカウントがあれば無料で利用できるが、有料プラン「NotebookLM Plus」であれば、指定できるソースの数や作成できるノートブックの数を増やせる。さらに、「よりビジネス思考に」「より短い返事に」など、AIによる回答の傾向をカスタマイズするといった拡張機能も利用可能になる。
2月17日時点で、GoogleはNotebookLM Plusを「Google WorkSpace」を導入する企業や学校向けに提供している。ただし、今後個人向けのサブスクリプション「Google One AI Premium」を通して一般消費者にも提供予定だ。
なお、GoogleはユーザーがGoogle WorkSpaceかその学校向けバージョンの契約者である場合、ユーザーがアップロードしたデータや、AIの応答については、人間が確認をすることはなく、AIのトレーニングにも利用しないとしている。
それ以外のケースについては「NotebookLMのトレーニングに、ユーザーの個人的なデータを使わない」との方針を示しているが、具体的な言及は見当たらなかった。AIに参照させるデータによっては情報漏えいや権利侵害のリスクにつながる可能性もあるため、ソース選びは慎重にすべきだろう。
NotebookLMは現在、ユーザー間でさまざまな活用法が共有・模索されている。例えば南場会長はPerplexity AIで、ミーティング相手の近況を伝えるWeb記事や動画などをピックアップし、NotebookLMに投入。「行きのタクシーの中、チャットで『この方はトランプ政権についてどう考えているか』『スタートアップエコシステムについてどう考えているか』などに答えてもらえる」(南場会長)といった使い方をしているという。
その他にも、取材先やSNSなどでは「学習用のテキストをソースに指定して、内容を理解できるまで問題を生成してもらう」「新しい学術論文を読ませて、要点を整理させる」「サービスの利用規約を読ませ、重要そうな点をピックアップする」といった使い方も見聞きする。
記者もChatGPTのリサーチ機能「deep research」と併用して、普段取材しない分野のキャッチアップに使えないか、いろいろと試している最中だ。GoogleのサービスとあってYouTube動画も読み込めるので、複数の教則動画をまとめて文字化するような使い方もできるかもしれない。動画より文字の方が好きな記者としてはうれしい特長だ。
以上のように、情報の集約・要約手段として注目を浴びているNotebookLM。いろいろと使いどころが思い付くサービスなので、SNSなどでは盛んに活用法も発信されている。Googleのサービスなので、今後GoogleカレンダーやGmailなど他サービスと連携してさらに便利になる可能性も考えられる。AIサービスが氾濫する昨今だが、使いやすさやさらなる拡張の可能性を備えたサービスの一つなので、AIによる効率化を手元で試すにはちょうどいいかもしれない。
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ITmedia AI+、ITmedia NEWS編集記者。2020年にアイティメディアに入社。ITmedia AI+ではAIツール・サービスのレビュー記事などを執筆。ITmedia NEWSでは主にAWSやさくらインターネットなどのクラウドインフラ動向やITスタートアップ、ゲーム業界の取材を担当し、社内の編集表彰を複数回受賞している。
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