授業では、どのように使う想定なのだろうか。
「前提として、AIを使うことが目的ではなく“必要だから使う”という認識。特定の授業に限定せず、活用できる授業ならどれでも使ってほしいとお願いしている」と担当者は話す。
例えば、図工で作品を作る時、生徒がアイデアに詰まっていたら、AIからアドバイスを得るよう指導したり、国語の作文の課題で、AIにテーマ案を出してもらう、などが一つだ。
「授業中に困っている生徒がいれば、教員が一人一人に寄り添うのが理想だが、クラスに40人の生徒がいればそれはできない。都立AIを使うことで、AIが一人一人に寄り添いながら、アイデア出しの壁打ちができる」
政府の「GIGAスクール」政策により、全国の小中学校の児童生徒には、1人1台のPC端末が配られている。都立の学校では、WordやPowerPoint、画像生成AI「Adobe Firefly」も利用できるという。都立AIも、そうしたツールと並び、あくまで「利用可能なツールの一つ」というイメージだろうか。
「ツールの一つに過ぎない、とまで言い切るのは語弊があるが……先生が本当に必要で、実現したかったことを実現できる道具だ」(担当者)
都は2023〜24年にかけ、一部の研究校で先行してAIを活用。その事例を資料化して公式サイトで公開しており、さまざまな授業での活用法を見ることができる(関連記事)。
事例には、“考える素材の一つ”としてAIを利用するケースが目立つ。例えば、ある高校の数学の授業では、問題を自力で解く生徒と、生成AIなどを活用して解く生徒に分かれ、解答の正しさや速度などの違いを検証していた。また、歴史の授業では「バルカン戦争が起きなかったら」など、"歴史のif"をAIで生成し、史実と比較・検証したケースもあった。
教育へのAI導入のリスクで最初に思いつくのは、AIがもっともらしいウソをつく「ハルシネーション」だ。
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