企業における生成AI導入が進み、業務で利用できる企業も増えてきました。一方で「導入したものの利用者が少ない」「目立った成果が出てこない」という問題も出ています。実際に生成AI専任担当の役職を作って導入までは進むものの、伸び悩む企業も。これには、組織における問題が大きく影響しています。
企業には多くの従業員が在籍するものの、生成AIに対する印象はさまざまです。積極的に使いこなそうとする「推進派」は、社内で導入推進の中心となった担当を含めて少数派です。さらに問い合わせ対応や問題発生時の責任など、苦労のわりに報われず社内で孤立しがちです。
次に生成AIを一切利用せずに、障害や安全性に対して懸念を表明する「反対派」も確実に存在します。慎重な姿勢は正論でもあり、社内で声が大きく目立ちやすい側面があります。そして多くの人は明確に賛成も反対もしない、「無関心派」という状況です。仕事が楽になれば良いと思いつつ、新たなことを覚えるのが面倒なので無かったことにもしたいと考える派閥です。
このように社内では生成AIに対して「推進派」「反対派」「無関心派」である、「推・反・無」における三つの勢力が争う状況となります。
このような三つの勢力が争う状況と言えば、既にお気付きでしょう。つまり「三国志」です。
三国志とは、古代中国において「魏・呉・蜀」という3つの国による覇権争いの時代を指します。この時代には幾多の人物が活躍しており、小説や漫画などの題材にもなっています。
もっとも会社の上司やベテラン世代においては、三国志を常識のように認知している人も多くいます。この世代は、幼少期から三国志を題材にした漫画やゲームや小説や人形劇から、人物やエピソードや名ぜりふを義務教育のように把握しています。また、この世代は、社内で一定の影響力を持つ世代でもあります。
人間は一定の年齢を越えると、生成AIに限らず新しいものに反対したり関心を示さなくなったりする傾向があります。実際に各種調査でも若い世代は生成AIの認知度が高いものの、年齢が上がると関心は下がります。このような状況下で社内で多数派を占める世代に対してアピールするなら、まずは「一定年齢以上の世代」が認識している題材と絡めた提案がきっかけとなります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.