最大勢力の魏を率いた曹操は、土地と税金における改革を進めて強大な組織を作り上げました。時代に合わせて組織変革が重要なのは、現代でも変わりません。生成AI導入活用において変化は避けられないため、変化に適応する準備を提供すべきです。社内で勉強会やセミナーを繰り返し実施するなどして、何も変わらないことが問題であることを理解してもらいます。
このように生成AIの推進活用で壁にぶつかったときは、三国志を参考にしてみましょう。大変な場面において、役立つきっかけとなります。
生成AI導入活用はゴールが見えない業務のため、担当者の精神的な疲弊を招きます。そこで具体的なロードマップを示すため、三国志における大きな節目の戦いである「赤壁の戦い」で考えてみます。
まずは大きな戦いを1つ乗り越えることを、最初の目標として掲げましょう。赤壁の戦いでは、劉備と孫権は手を組んで、曹操が率いる強大な敵国に戦いを挑みます。さらに数的に不利な状況を覆すため、水上の戦いに不慣れな兵士に着目。船同士を鎖でつなげる「連環の計」から、船を延焼させて逃げられない策で大軍を倒します。
このように仲間を募り、事前に策を練っておき、敵を一緒に集めて逃げられない状況に追い込むことが重要です。会社においては少数である推進派から、反対派を説得して連合を組みます。反対するのは、良くも悪くも生成AIに関心を持つ証拠です。そこで「反対派の要望を聞く」という体裁で接触して、条件付きで協力するなどの関係性を構築しましょう。
その上で一番人数が多い無関心派に対して、生成AIを利用するきっかけづくりに挑みます。興味関心がない立場でも、偉い人から命令されれば従うのが会社員の宿命です。全社集会などで、事前に影響力がある役員などに根回しして、会社全体が一丸となって生成AIに取り組むことを宣言してもらいます。
無関心派とて偉い人から指示されれば、取り組まざるをえません。偉い人には事前に根回しを進めておきます。逆に推進派にとって大義名分が追い風となります。これで社内の空気を変えて、最も数が多い無関心派を一網打尽にしましょう。1つの大きな区切りを付けることで、チームメンバーも具体的な目標に向かってまい進できます。
とはいえ、簡単に会社全体で意思統一はできません。推進派、反対派、無関心派という3つの対立は残り続けます。そこで「天下三分の計」とすべきです。三国志において強大な敵を倒して1つの勢力が全土を支配するのは難しいため、まずは3つの勢力が支配する状況を作り出すという流れです。
生成AI推進派も小さな勢力であり、短期間で会社を一気に変えるのは難しいです。まずは推進派と反対派と無関心派の3つの勢力が反目する対立状態ではなく、お互いに意見を出し合う前向きな関係性を構築すべきです。
推進派とて、生成AIは万能ではないため慎重な意見も取り入れるべきです。反対派も時代に逆行せず、自社にとって最適な使い方を模索すべきです。無関心派も無視できない変化であることを自覚すべきでしょう。最終目標は組織全体による生成AI活用ですが、まずは導入直後の目標としては、天下三分の計を目指すのが現実的でしょう。
このような三国志に絡めたアプローチにより、社内で影響を持つ世代を攻略しましょう。生成AIという存在について、イチから理解して関心を持ってもらうのは難しいです。しかし、三国志というなじみがある題材に絡めることで、興味を引くきっかけとなります。
「生成AIにより社員の生産性が向上します」という説明より、「生成AIのおかげで諸葛亮(孔明)のような優秀な軍師が全社員を支援してくれます」の方が、共通言語として認識できるわけです。このような説明なら、三国志が好きな世代も生成AIに歩み寄ってくれるでしょう。
社内で生成AIの活用推進に取り組むのは、孤独でつらい仕事です。しかしながら、別の分野で先人たちも苦労してきた事でもあります。そこで自分の経験だけを振り返らず、長い歴史に目を向けてみましょう。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があります。自分が経験して失敗する前に、歴史から学んでより良い施策に取り組んでみましょう。
ここまで読んで「会社に都合よく三国志が好きな上司なんていない」と思う人もいるでしょう。しかし「歴史が好きな上司」なら、どこにでもいるものです。そこで三国志を戦国時代や幕末に置き換えれば、同じ方法が通用します。時代や場所を問わず、歴史から学べる点は数多くあります。一見すると生成AIとは無関係な三国志を、この機会に活用してみましょう。
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