競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」を運営するAtCoder社(東京都新宿区)は7月2日、同社が主催する世界大会「AtCoder World Tour Finals 2025」に、米OpenAIがスポンサーとして参画すると発表した。同大会初の人間 vs. AIのエキシビションマッチも実施する。
競技プログラミングは、特定の条件下における課題をプログラミングで解決し、その過程や結果を競う。AtCoder社では、正解と不正解が明確な課題を解く「アルゴリズム部門」と、近似的に最適な解を求める「ヒューリスティック部門」の2分野で、定期的にコンテストを実施している。
AtCoder社は、OpenAIがスポンサーになった背景として「競技プログラミングは、生成AIの応用先として、早くから研究コミュニティーの注目を集めてきた分野の一つ」と説明する。特にアルゴリズム部門では、数学的・論理的な思考力が問われ、解が明確に決まる点などから、AIの能力を測る場として一部で活用されているという。
一方、人間の「創造性」や「試行錯誤を通じた知見の蓄積」などが強みを持つヒューリスティック部門では「生成AI活用はまだ発展途上」と指摘。「競技プログラミングと生成AIの両方を発展させていくためには、AIの最先端を担う企業との連携が不可欠」との考えを持っていたという。そんな中、OpenAIが今回の大会の趣旨に理解を示し、スポンサー化が実現したとのことだ。
人間 vs. AIのエキシビションマッチでは、ヒューリスティック部門で、人間とAIが競い合う。ただし、単に人間とAIの優劣を問うのではなく「現時点におけるAIの能力を具体的かつ定量的に把握することに主眼を置く」と説明。「AIを必要以上に恐れるのではなく、その可能性を前向きに捉えることで、今後の技術の発展や教育への応用につながる知見が得られることを期待している」(AtCoder社)
AtCoder World Tour Finals 2025は、7月16日と17日に渋谷ソラスタコンファレンス(東京都渋谷区)で開催予定。アルゴリズムとヒューリスティックの各部門で、AtCoder社が年間を通じて開催するコンテストの成績上位12人を招待し、世界王者を決定する。
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