ソフトバンク傘下でAIの研究開発を手掛けるSB Intuitions(東京都港区)は7月16日、ソフトバンクの年次イベント「SoftBank World 2025」にて、同社のAI基盤構想を解説した。企業ごとに特化したAI「Cristal intelligence」や、国産AIモデル「Sarashina」を提供するためにも“デジタル公共インフラ”の確立を目指す。
SB Intuitionsでは、日本語に特化した大規模言語モデルであるSarashinaの開発を進めている。2024年度には4000億パラメータの事前学習モデルを作り、25年度からは段階的に商用化も予定。現時点では、1兆パラメータ級の大規模モデルを目指し、さらなる性能向上に努めている。
SB IntuitionsがSarashinaの開発をする理由は、LLMにおけるソブリン性を確保するためだ。米国や中国発AIモデルが話題になる中、現状では日本産LLMはそれらの後ろを追いかけている。経済安全保障や情報機密、インフラの所在地、国内産業振興など、複数の観点での課題を解決するためにも、ソブリンAIの重要性を説いている。
また、国産LLMだからこそ日本語の微妙なニュアンスもフォローできるようになると、SB Intuitionsの丹波廣寅CEOは指摘。AIが日本の情報を多く取り込めば、日本語の複雑さにもより的確に対応でき、文化・文脈にもより正確な理解を示せると説明する。
「(企業のAI活用を進めていくには)各業界・企業に完全に適したAIモデルが必要になる。日本文化を理解しているからこそ、言葉遣いや専門タスクに適切に対応できる。適材適所で活用できるようなAIを開発し、使い分けができることを提示したい」(丹波CEO)
「人間がプログラミングする時代、もう終わる」 孫正義氏の将来像 グループ社員も「最終的にはやらない」
ソフトバンク、大学・高専生向け「生成AI活用アイデアコンテスト」開催へ 最優秀賞には賞金1000万円
“目”を持つAI「VLM」のまとめ資料、ソフトバンクのAI開発企業が公開 基礎やトレンドを全95ページで紹介
ソフトバンクG、AI研究で米カーネギーメロン大に約22億円を寄付 慶應大とのパートナーシップ支援
日本語に強いVLM「Sarashina2-Vision」 ソフトバンクのAI開発企業が公開 MITライセンスで商用利用OKCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.