米Google DeepMindは7月23日(現地時間)、断片的な古代碑文を文脈化するためのAIモデル「Aeneas」(アイネイアス)を発表した(アイネイアスは、ギリシャ・ローマ神話に登場する放浪する英雄の名)。ノッティンガム大学をはじめとする複数の大学の研究者と共同で開発した。
ラテン語のデータセットで訓練されており、解読できるのは主にラテン語だが、古代ギリシャ語の書物も扱える。
Aeneasは、碑文のテキストと画像をインプットとして分析するマルチモーダル生成ニューラルネットワークとして機能する。碑文の単語、構文、定型句などの類似性に基づいて「パラレル(類似テキスト)」を識別することで、これまで歴史家が膨大な時間と専門知識を要した複雑な作業を劇的に加速させるという。
碑文のテキスト情報だけでなく、画像情報も分析することで、その地理的起源を特定できる。また、欠損したテキストの長さが不明な場合でも復元できる汎用性を持つ。
歴史家を対象とした共同研究では、90%のケースでAeneasのパラレルが研究の出発点として有用だと評価された。ある参加者は「Aeneasが提供するパラレルは、碑文に対する私の認識を完全に変えた。手作業では数日かかっていたであろう発見が15分でできた」と語った。
例えば、長年にわたって年代論争がある「アウグストゥス業績録」の分析で、Aeneasは既存の学説と一致する年代分布を提示し、微細な言語的特徴や歴史的指標から重要な手がかりを特定した。
Aeneasは、研究者や学生など、古代史に関心のあるすべての人々にWebサイトで無料で提供されている。また、コードとデータセットもオープンソースで公開されている。
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